令和の「ソロ活」を考える 「〝積極的〟おひとりさま」の増加、「おひとりさま」のスタンダード化

令和の「ソロ活」を考える

 おひとりさま=さみしい、はもう過去の話になっている。マーケティング・リサーチ会社クロス・マーケティング「おひとりさま消費に関する調査(2022年)」によると、ひとりで自由に使える時間の必要性について、「必要」は63%、「どちらかというと必要」は31%を占めた。今時の「ソロ活事情」を取材した。

「私は私」という人が増えた

 〝おひとりさま〟消費が拡大した背景には、コロナ禍による密を避ける必要性や、単身者が増加したことが挙げられる。それだけではなく、「ソロ活」に対する考え方が社会全体で変化してきている。

 膨大な情報の流通とアルゴリズムが発達した結果、現代人は個人に合わせた「好き」「似合う」の情報に多く触れる環境にある。その結果、個人の嗜好・行動が分類しきれないほど多様になり、「みんなと一緒に楽しむ」という行為が難しくなっている。私らしく過ごしたいという選択の結果が「ソロ活」につながっているのだ。

 SNSの普及によりあらゆる価値観を手軽に見聞き、発信できるようになったことや、多様性を重視する風潮も、「ソロ活」を後押ししているだろう。

〝おひとりさま〟による「ご自愛」と「自己成長」

 「ソロ活」は、固定概念から自由になり、自分の価値観を大事にできることが一つの醍醐味と言える。例えば、誰かと食事をする場合だと相手の好みやTPOを意識して選んでしまうが、一人であれば食べたいものを自由に注文できる。社会に生きる私達にとって、自分と向き合い、思い通りに物事を行う機会は癒やしになる。

 また、電通デザイアデザインによると、「現代は『競争』より『自己進化』」だという。これまでのように、他者との競争のための自己研鑽(さん)ではなく、なりたい自分になるために自身をバージョンアップする動きが活発化している。自分の内面を深めるために一人の時間を過ごすことも重要だろう。

自由に使える時間
出典:クロス・マーケティング「おひとりさま消費に関する調査(2022年)ひとり時間の実態・意識編」

拡大する〝おひとりさま〟の領域

 「焼肉」「カラオケ」など、従来は複数人で楽しむことが当たり前と考えられた業種が次々と〝おひとりさま専門店〟を確立させた。今やどんなモノでもひとりで楽しめる時代になったといえる。最後に、記者によるオススメのソロ活スポットを紹介したい。

 ▼ゴルフ かつてゴルフは、団体でゴルフ場に行き一日がかりでコースを回るイベントだった。しかし最近は、都会に貸切のインドアゴルフ場ができつつある。時間拘束の長さや天候、腕の良し悪しなどを気にせず、高性能マシンを利用して気軽にラウンドを回れるという魅力がある。

 ▼ホテル コロナ禍で新たに流行した「ホカンス」。ホカンスとは、ホテルでの滞在自体を目的とした休暇の楽しみ方。一人でゆっくり読書をしたり、ホテルの設備や部屋から見える景色を満喫したりする。職住の境界が薄い人は特に、自宅から離れることで非日常を味わうことができる。

 ▼高級料理店 「おひとりさまご飯」の長所は何といっても料理に集中できること。飲食店のひとり利用は、店舗側にとっても好都合な場合もある。例えば、鮨・焼き鳥のようにカウンターメインの店舗だと、予約困難店でも席数の都合で「一人であればOK」という場合がしばしばあるそうだ。