小中学校で不登校の児童・生徒が過去最多
進路選択の幅が広がり、不登校の生徒においては通信制高校という進路選択が昔よりも抵抗なく選択できるようになった。一方で、そもそも高校を卒業しなくても大学や専門学校に進学できる方法があるのをご存じだろうか。今回は、高校を卒業することで取得できる「高校卒業資格」とは違う、「高認」という選択肢について解説したい。
短期間で高校卒業同等に
高認(高等学校卒業程度認定試験)とは、様々な理由で高等学校を卒業しなかった人の学習成果を文部科学省が適切に評価し、高校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験である。年2回実施され、合格者には大学や専門学校の受験資格が与えられるほか、就職や資格試験等に活用することができる。本人の学力や勉強量次第で、短期間で資格が取れるのがメリット。16歳になる年度から受験可能で年齢の上限がないため、学生に限らず幅広い年代の人が受験している。
高認受験のサポートを専門とするJ─School(大阪市北区)へは、不登校や高校中退の経験から通学に難しさを感じる一方で、大学や専門学校への進学を希望する若者も多く通う。同校の尾添秀則校長は、「『絶対に高校に通わないとだめだ』というのは古いと考えています。高認は、高校と違い3年間の就学期間がなく、合格した時点で高卒と同等資格が得られます。そのショートカットした時間を、大学受験に専念したり、他の技能取得に集中したりと、有意義に時間を使えるのです」と語る。
海外の大学へ飛び級入学も
ショートカットできる利点を活用し、同校では海外の大学へ〝飛び級〟進学したい人に向けたサポートも行っている。最短時間であれば、まず現地で暮らしながら語学勉強と高認の取得勉強を並行して行い、1年で資格取得。その後、コミュニティーカレッジやファウンデーション(※国により呼び方が異なる)で1年学んで大学本科に進む、という流れだ。
日本とは違い、海外の大学の多くは入学に年齢制限がない。そのため、高校1年生相当の16歳からスタートすれば、高2相当の17歳から〝大学生〟になれる。「日本の風土が合わない」と感じる子どもにとっては魅力的な進路選択だ。
高認は「高卒」とは異なるため、それそのものを目的にする資格ではない。しかし、将来やりたいことが決まっているのであれば、高認取得は大いに役立つ。
進路指導の場で聞く機会はまだ少ないが、時代のニーズに合わせて進路はどんどん多彩になっている。さらに求める人が増えていくことを考えると、「あえて高校進学をしない」高認のような選択はもっとメジャーになるだろう。
ひとり親家庭の高認を大阪市もサポート
大阪市では「高卒認定合格支援」を行っている。ひとり親家庭の母または父、そしてその子ども(25歳未満)が、高卒認定取得のために民間事業者の講座を受講した場合、最大25万円の給付金が支給される。
※詳細は大阪市HPを参照