昭和歌謡史にその名を残すムード歌謡グループ「内山田洋とクールファイブ」。昭和の最後に脱退したメインボーカル前川清の後を埋めるべく何人かの男性歌手が同グループを出入りした。その1人が今も歌手を続けているたくみ稜(65)だ。7月に6年ぶりの新曲「もぬけの殻」を発表。このほど開かれた「大阪発流行歌ライブ」に出演。軽やかなラテン調リズムでステップを踏み、出身地・大阪とあって詰め掛けた地元ファンを喜ばせた。

たくみは当時人気のテレビ番組「スター誕生」で決勝大会に進出。プロ歌手としてデビューしたのは1983年だからもう40年以上前になる。その間に「夢でもいいの」(2004年)や「上海たずね人」(17年)など今でもカラオケ愛好家に歌い継がれるスマッシュヒットを出しつつ、映画やテレビで俳優としても活動も続けてきた。

3年続いたコロナ禍で一時歌手活動を休止していたが、満を持してヒットメーカーの作詞家・及川眠子が去って行った男を思う女心を描いた「もぬけの殻」と愛する人を弔う永遠の別れの時を迎えた女性を主人公にした「涙雨」を彼のために書き下ろしてくれた。

たくみはこれまで好きなバラード調の曲を好んで歌ってきたが、今回は過去の実績をかなぐり捨てて新たなスタートラインに立ったつもりで臨んだと言う。「2曲とも及川先生らしいストーリー性のある詞。単に覚えるだけでなく感情を込める。思っていた以上に大変で、お客さまの前で歌い始めて2カ月近くなりますが未だ十分じゃない。現在進行形です」と悩ましい表情。

猛暑日の大阪での生歌に、いつものダジャレは封印して切ない詞の内容に合わせてトークも真面目に。「自分の故郷ですけど大阪は暑いね。湿気が多い感じ、仕事で香港に行った時の事を思い出しましたよ。あちらもジトッとまとわりつく暑さ。大阪も香港化して来たのかな?」とサラリ。それでも生まれ故郷は落ち着くようで「大阪の街の雑多さが好き。僕は逆に落ち着きます。今日いらしているお客さまには、この街を長く愛して欲しい」とエールを贈った。
(畑山 博史)