夏場の6〜8月に多発。暑さと衝撃が引き金

携帯扇風機やモバイルバッテリーなど現代人の生活の中に入り込んでいる「リチウムイオン電池搭載製品」の発火事故が相次いでいる。昨年の事故件数は492件で約85%が火災に発展。特に夏場の6~8月に多発している。

バッテリー発火事故が多発
JR山手線の車内で7月20日、乗客のモバイルバッテリーが突然発火し、やけどなど5人が軽傷を負った。真夏の高温や衝撃が原因とみられ、鉄道の運行にも最大2時間の影響が出た。
現代人の生活の中に入り込んでいる「リチウムイオン電池搭載製品」。モバイルバッテリーやスマートフォン、携帯扇風機、電動アシスト自転車など、繰り返し充電して使えるこのリチウムイオン電池は、夏場に事故が増加する傾向が見られる。同電池は「熱と衝撃に弱い」という特性があり、製品評価技術基盤機構(NITE)によると、昨年の事故件数は492件で、約85%が火災に発展しており、特に6~8月に多発している。モバイルバッテリーを車内に放置したり、携帯扇風機を落下させたまま使い続けた結果、爆発したケースも報告されている。
こうした事態を受け、航空各社は7月から「機内ではバッテリーを手元に置くよう」呼びかけを開始。発火時にすぐ対応できる体制づくりが求められている。
事故防止のためには「正しく購入・正しく使用・正しく捨てる」ことが大切だ。特にネット通販で流通する安価な海外製品には、安全装置が不十分なものも多く、製造元の連絡先が不明で補償が受けられないケースも目立つ。
使用にあたっては、以下の点に注意が必要だ。
●高温になる場所(車内・直射日光下)に置かない
●強い衝撃を与えない
●熱くなる・膨らむといった異常があれば即使用を中止
●発火時は大量の水で消火し、消防に連絡
●保管は金属容器などに入れて延焼を防ぐ
暑さが厳しいこの季節、身の回りの機器に異常がないか、一人ひとりが注意を払うことが事故を防ぎ、社会インフラの安全を守る第一歩となる。
