上方落語協会などが主催する「三題噺王決定戦」第1ラウンド(9月23日大淀コミュニティーセンター)のお題を決める抽選会が行なわれ、出場する入門20年以内の若手噺家12人が「人」「場所」「物」の3題を選んだ。

三題噺とは、寄席では観客から3つのお題を貰って演じる噺家が物語として即興で高座を演じる昔からある芸。明治の江戸落語名人・初代三遊亭円朝の作で今や古典名作となった「芝浜」も〝酔っ払い、財布、芝浜〟のお題から生まれた、とされ若手噺家が腕を磨く基本技の一つ。

写真のように12人がそれぞれ選んだ3題を披露。「もう出来たようなモン」と胸を張る者もいれば、「コレでは何の情景も思い浮かばへん」と顔をしかめる者もいて悲喜こもごも。

各自、12分以内で創作力を競うが、昨年優勝で今年も出場の桂笑金は「バーチャルアイドルが会議室でチケットを…」を引き当て「今年は去年より作りやすい。もうイメージは浮かんできた。昨年の覇者としていいところを見せます」とキッパリ。毎秋開催で昨年のNHK新人落語大賞の覇者、桂三実は「外国人が映画館で太鼓を…」と決まり「三題噺王は色々なコンテスト覇者が集まり腕を競い合うのが面白い。普段創作する際に自分では絶対使わない言葉を使って作る楽しみが刺激的」とライバル意識むき出し。
総合プロデューサーの上方落語協会・笑福亭仁智会長は「三題噺作りは落語家が血と汗と情熱で創作する芸。自分の範ちゅうを超えた噺がバンバン出てきて僕らも驚かされる」と期待を込めた。

9月の1次審査で半数の6人が残り、来年1月30日に天満天神繁昌亭で決勝が行われ5回目の勝者が決定。優勝者の創作からイメージを膨らませ「落語と絵本のアニュアーレ(イタリア語で〝年に一度の出会い〟という意味)」として、絵本作家からイラストを募集し子ども向け絵本へとアレンジを試みることになっている。
(畑山 博史)