民間総合調停センター(大阪市北区)は設立15周年を記念して12月7日、「吉本芸人とADRを知ろう!」を開催した。会場である大阪弁護士会館には老若男女285人が参加した。
同イベントは3部構成。冒頭で吉野孝義理事長が挨拶した。まず、ADRとはAlternative Dispute Resolutionの略で裁判外紛争解決手続と訳され、裁判によらないトラブルの解決方法であることについて説明した。吉野理事長は「ADR機関はほかにもあるが、弁護士に加え、司法書士会、不動産団体、消費者団体、自治体など23団体が協力している機関はほかにはない。一方、ADR自体、一般の方に認知されていない。少しでも多くの方に知っていただきたい」と話した。
美容・歯科などでトラブル増加
2部ではADRの詳細、同センターについて、田渕学事務局長が登壇した。ADRは公正、迅速、低費用で紛争を解決することを目指した機関であることが大きな特長で、ポイントは5つ。
1つめは、弁護士を含む専門家3人が公平・中立な立場として手続きしてくれること。2つめは、裁判所と異なり非公開で行われること。3つめは個別対応のため、相手方と合わなくて済むこと。4つめは、交通事故、相続、医療トラブル、離婚など民事に関するあらゆる紛争に対応していること。5つめは申立手数料は1件につき、1万円で相手方が手続きに応じなかった場合、7000円が返金されることだ。成約手数料は、紛争解決額が100万円未満の場合、1万5000円と訴訟を起こす場合に比べ、低廉に抑えることができる。
田渕事務局長は「解決までの時間は事案にもよるが、3カ月程度だ。ここ数年増加している事件は美容関係やインプラントなど歯に関するトラブル」と話した。
3部では吉本の芸人6組による漫才が繰り広げられた。最後に全員が舞台に並び、ミサイルマン西代洋さんの司会進行のもと、芸人、参加者へのクイズが行われた。「ADRでの解決期間はどれくらいかかるか」「裁判所で行う際のちがい」などの題が挙げられ、サバンナの八木真澄さんやコロコロチキチキペッパーズ ナダルさんらが珍解答を連発し、笑いを取っていた。一方、正解した子どもなどには、芸人からサイン入りのプレゼントが贈呈された。終了後は希望者のみ無料法律相談会が実施された。
同センターは2009年1月に設立し、24年11月末現在、2221件受理している。場所は北区西天満1─12─5 大阪弁護士会館内。手続きの概要や、申し立て方法などは事前予約制で無料対応している。