年収の壁 主婦たちのリアル 働き控えをする、しない理由

 多くの報道は103万円、130万円など年収の壁の仕組みを繰り返し説明する内容が目立つ。そこで本紙では、実際に壁と向き合う主婦の働き方の工夫や悩み、壁への考え方に焦点を当ててみたい。3人の主婦にリアルな話を聞いた。

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壁を気にしなくなり仕事にやりがい出た Aさん

 主婦のAさんは、これまで年間150万円以内に抑える働き方をしていた。「これ以上稼ぐと社会保険に加入しなければならないし、手取りが減るのではないか」と気にしていたからだ。しかし、パート先の先輩から「社会保険って会社が半分負担してくれるし、実は悪くないよ」と言われ考えが変わった。
 社会保険に加入することで、厚生年金が増えたり、健康保険で手厚い保障を受けられるメリットがあった。Aさんは「自分で全額を払うわけじゃないなら、将来への備えとしてお得かも」と考えるように。また、扶養から外れるが、働く時間を増やして200万円以上稼ぐことで家計全体の手取り収入が増えた。「中途半端に仕事を抑えるより、思い切って稼ぐことのほうがメリットが大きい」と話している。
 働く時間を少し増やし、家計に余裕が生まれた。これまで節約していた家族での外食や買い物を楽しむ機会も増え、生活が豊かになったという。仕事もセーブすることなく働き、キャリアアップにも繋がった。「心に余裕が生まれ、仕事のやりがいもでてきた」とAさんは話している。

個人事業主として経費を使える働き方に Bさん

 以前、営業職の契約社員として働いていたBさん。当時、収入は安定していたが、税金が天引きされる仕組みに不満を抱いていた。
 そんなとき、Bさんは会社の制度にあった完全歩合制で働く先輩から「個人事業主だと、普通は天引きになる税金分の金額を、ある程度自分でコントロールして経費で使える」と聞かされ、先輩と同じ完全歩合制の働き方に転向。
 税金は確定申告を通じて後払いとなることから、事業用の経費を計上することで税金負担を軽減することに成功した。
 ただ、注意するべき点もある。社会保険料は全額自己負担する必要があり、安定的な収入が見込めない場合は、生活に影響を及ぼしてしまうからだ。加えて税金を管理するため、ある程度の知識や手間が求めらる。ただ、「税金のことなど自分で管理するようになって、自分の働き方をより主体的に考えられるようになった」とBさん。

130万超えないようエクセルで管理 Cさん

 パート主婦のCさんは「130万円の壁」を超えないように働き控えをしている。扶養内で働いている間は保険料を払わなくて済むため、「働きすぎると損をする」という意識が根強い。
 Cさんは毎月、扶養の範囲内を超えないよう、自分が働いた時間をエクセルで管理している。「家計の足しにするために働いているのに、扶養を外れることで手取りが減ってしまうのは本末転倒なので」とCさんは話している。

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 それぞれの〝壁〟は多くの主婦が直面する課題だが、その先にある可能性を見据え、自分に合った適切な働き方を見つけることが重要だ。