帝国データバンクは9月3日、美容室の倒産が前年比1・5倍で過去最多ペースにあると発表した。
今年8月までの美容業の倒産(負債1000万円以上の法的整理)は139件で、年間で最多だった2019年の166件を上回る勢いで推移。このペースが続くと過去最多を大幅に更新し、初の年間200件台に到達する可能性があるという。
美容室の倒産が急増した背景には、新規開店が続き店舗間競争が激化していることがあげられる。加えて、円安や原材料高の影響で、シャンプーなどの美容資材が高騰。さらにスタイリストなどの獲得が難しく人件費などのコストアップが追い打ちをかけた。
各美容室では技術料の値上げを行っているが、日本政策金融公庫の調べでは、値上げをしても利益が「不変・減少」のケースが8割を占めている。昨年度の美容室の業績は、損益面で赤字の企業が4割を占めた。
また、家計の節約志向に加え、女性のヘアスタイルの流行がショートカット系へシフト。「カットは好調だが、パーマなど高単価の施術メニューが厳しい」といった声も聞かれた。実際に、支出額ベースではカットに比べ、パーマの減少傾向がみられた。
足元では、顧客離れを心配して値上げを見送る美容室も多い。相次ぐコスト増に耐えられない美容室で、市場からの退場がさらに進む可能性があるという。