誰もが憧れる住まいのタワーマンション(以下タワマン)。居住することにステータスを感じ、住居としての資産価値も高い。この大阪のタワマンが今、リフォーム時期に差し掛かってきた。大手不動産会社から独立し、梅本光二さんが起業したタワマン専門リフォーム「リノベッタ」もその需要を捉えた1社だ。
大阪市のタワマンのはしりといえば、1980年代に造成がはじまった都島区友渕町のベルパークシティだろう。大小複数の住居棟で構成された敷地内には、87年に超高層36階建てのG棟が完成。当時、高さ100㍍を超えるマンションとしては日本第1号だった。
そこからタワマンが本格的に普及し始めたのが90年代だとすると、すでに30年が経過しており、リフォーム時期に差し掛かったといえる。実際に「10年ほど前から確実に増えてきた」と梅本さんは説明する。
大手の不動産会社に13年勤務した梅本さん。その多くをマンションのリフォーム畑で過ごし、特にタワマンに住む超富裕層や芸能人たちのリフォームを扱ってきた。担当した案件は優に100戸を超え、マンションリフォームの1部門で売上全国1位も獲得したベテランだ。
寿司カウンターに金庫部屋も
タワマンリフォームについて梅本さんは「通常の戸建てやマンションとは別物だ」と強調する。
例えば、自宅に寿司カウンターを作り、ホテルから料理人を呼んで寿司を握らせたい、という要望だったり、電子錠付きの部屋を作って金庫にしたいというニーズなどは、タワマンならではの特色と言える。「部屋を金庫にするなら、床に掛けられる荷重は1平方㍍あたり180㌔までだから補強が必須。加えて、保管するものが金の延べ棒であれば、金の重量も踏まえた荷重計算が必要になる」と、顧客とのコミュニケーションを通じて先回りした配慮が必要になることを説明。
さらに、タワマンは管理規約も厳しい。例えば防災関連のスプリンクラーも、ビルやホテル同様の基準になり、特殊な防災設備を扱える職人でなければ対応できない。また、顧客は日本人に限らず、海外富裕層も多いのでコミュニケーションの問題も出てくる。
「顧客の中には、自身が経営する関連企業の設計士を連れて来るケースもあるが、戸建てには強くてもタワマンの工事になると、知識が乏しい設計士は多い。それほどタワマンのリフォームには専門知識やノウハウが必要」と語る。
実際に梅本さんが全面リフォームを手掛けた福島区のタワマンを所有する会社社長は「部屋を広く見せるために壁を鏡面で仕上げたが、太陽光が反射して近隣のタワマンから苦情が出るリスクがあると教えてもらい、配置場所を細かく考慮してもらった。一般の工務店には分からないルールがあるので、タワマンを熟知する梅本さんに依頼してよかった」と話していた。
以前までは完全紹介制で対応していたが、今後は幅広く依頼を受けていくという。問い合わせは090(4277)7475、リノベッタへ。