長年活用されていなかった堺旧港周辺がいよいよ動き出す。堺市が進める大浜北町市有地活用事業における公募型プロポーザルで、アゴーラ ホスピタリティー グループが選定され、アーバンリゾートタウン「ポルトマーレ(仮称)」が2025年春に誕生する。無人自動運転移動サービスの導入なども合わせて、「堺の未来予想図」を展望する。
都市とリゾートが融合
ポルトマーレ(仮称)は堺旧港エリアにホテル、レストラン、イルカ関連施設、イベントスペースと護岸に通じる連絡橋、歩行者デッキ、緑地などを一体整備する計画。ホテルは、香港を拠点とするドーセット・ホスピタリティ・インターナショナルと提携した新ブランド「ドーセット バイ アゴーラ 大阪堺」が2025年春に開業予定。シーサイドテラスと一体となったレストランや客室からは堺旧港の美しい景色を臨むことができそうだ。
24年6月にはエリア内に先行してイタリアンレストラン「青いナポリ ウミソバ」がオープン。「オープンから想定を大幅に上回る6000人以上のご予約をいただき、驚きました。都心で非日常な体験ができる唯一無二のロケーションにポテンシャルを感じています」と話すのは、同店を運営するバルニバービ スピリッツ&カンパニーの向井夏樹社長。開放的なルーフトップテラスで絶景を眺めながら本格薪窯(まきがま)ナポリピッツァを味わえる「映え系グルメスポット」として注目を集めている。
万博会場に船で直結
2025年大阪・関西万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)と堺旧港を結ぶ旅客船が運航予定。片道の所要時間は約30分。大阪市内中心部を経由する鉄道に比べ、夢洲までの利便性が高く、地元では期待が高まっている。
ポルトマーレ(仮称)の開発責任者、アゴーラ ホスピタリティー グループの浅生浩取締役は「かつて、南蛮貿易で栄えた堺旧港に活気を取り戻したい。単にホテルを作って終わりではなく、堺の玄関口としてのブランド価値を高めていく」と意気込んでいる。
無人自動運転移動サービスの実現に向けて
新たな交通システムの導入などを目指すSMI(堺・モビリティ・イノベーション)プロジェクトも話題を呼んでいる。堺駅と堺東駅間において自動運転技術を活用した次世代都市交通「SMI都心ライン」と、堺駅と美原間の拠点を直通急行バスで結ぶ「SMI美原ライン」だ。堺の鉄道は、南海、阪堺、JRと全て「南北」に走っており、「東西」のアクセスは長年の課題となっている。同ラインにより東西交通の機能を強化し、堺市内をよりスムーズに周遊することができる。
SMI都心ラインは、27年度に自動運転レベル4(特定条件下における完全自動運転)の一部運行、30年度以降に自動運転レベル4の全区間運行を目指している。