高校入試や大学入試で有利になる「英検」が注目されている。その英検の合格に驚異的な数字を残し続ける専門塾がある。大阪を中心に5教室を展開する「成る木塾」だ。
「うちは同じ級に3回落ちた生徒は、合格するまで授業料が無料になるんです」
こう話すのは、同塾代表の髙島寛之先生。これまで400人以上の合格者を輩出してきたが、3回以内に合格できなかった生徒はわずか2人。
驚異的な合格率に導く独自の英語教育について教えてもらった。
英検2級の得点保証 中学1年から取り組めば入試に間に合う
英検は1年間に3回の試験がある。大阪府立高校の英語入試で、8割の得点保証を得たいならどのくらい前から勉強に取りかかるべきだろうか。
高島さんによると「中3の初めに2級を取るスケジュールから逆算すると、中1から取り組めば間に合う」という。同塾生のケースでは、平均して4級なら1回、3級は2回以内、準2級は2回以内、2級は3回以内に合格できている。平均で6回の試験で2級まで到達するわけだから、4級からのスタートでも2年で到達する計算だ。
高島さんによると「学校の授業は英検対策にならない」ときっぱり。その理由は、学校は定期テストで点を取るためのカリキュラムになっているからだ。
「(学校は)特定の単語と細かい文法をとにかく暗記する学習。穴埋め問題が中心である学校の成績は良くなっても、英検に必要な英語での英文読解力は磨けない。学校教育は、関係代名詞や過去完了形など難しい名前で単元分けをしており、正確にスペルを学ばせる割りに文型と発音を軽視しているためだ」という。
さらに「私たちが日本語を話すとき、主語は何で、動詞はどれで、と考えながら会話なんてしない。こんな勉強では英語が嫌いになるのは当然」と強調する。
まずは英語の”並び”を日本語で理解 その後の伸びが大きく変わる
それでは英語は本来、何から学ぶのが理想的なのか。「その答えは、日本語と英語では言葉の並び順がまったく異なるので、まずは英語に一定のパターンがあることを知ることです」(高島さん)
英語の表現は常に『誰が、どうする』の順番になる。例えば、日本語の「公園に行く」を 〝誰がどうする〟に並べ直すと「私は行く、公園に」となる。実はこれをそのまま英単語に置き換えれば、正しい英語になる。
ただし、日本語は主語、つまり「誰が」を端折ることが多いが、英語は絶対に端折ってはいけない。「何をしていますか?」は日本語では自然の言葉として聞こえるが、英語は「あなたは、何をしていますか?」と必ず「あなたは」の主語を入れないと通じない。
今度は「エンピツが折れた」を英語にしてみよう。やりがちなのがエンピツを主語にして、次は動詞だから…と「My pencil is broken.」と表現してしまうことだ。
この場合、まずはエンピツは勝手に折れるはずがないから、この日本語には折った〝誰か〟が隠れている。折ったのが私なら、「私は、折った、私のエンピツを」となり、そのまま英単語を当てはめて「I broke my pencil」でOKだ。
日本語は主語を言わなくても通じるが、英語は日本のように〝察する文化〟がないのでハッキリ表現しなくてはならない。
「でも、逆に考えれば英語がいかにシンプルであるかということ。主語が消える上に、漢字・ひらがな・カタカナを使い分ける日本語がいかに難しいかがわかる。その一番難しい日本語を話せるのだから、シンプルな言語の造りをしている英語は簡単」と自信を持たせた上で、「英語と日本語は、言葉の並べ方が一番違うところであり、一番大切なところ」と高島さんは強調する。
日本語で書いた日記を、英語の並び方に換える練習が一番実になる
実は高島さん自身、英語習得にはものすごく苦労していた。英語が話せないのに高校生活をアメリカンスクールで過ごし、慣れない環境で必死に英語を習得しなければならない状況だった。
しかしこのとき、「日本語で書いた日記を、英語の並び方に換える練習が、一番実になった」と話しており、この経験を塾の授業に導入している。確かに、自分自身で書いた日記なら、内容も把握できており、いい訓練になる。
高島さんは「英語の並びを体に染みこませていくと、分かる楽しさが出てくる。ある日突然、町の英語の看板が読めるようになるし、急に洋画が聞き取れるようになる。その瞬間、みんな感動する」と話している。