年末に向けて株価が上がっていくという経験則(アノマリー)があるが、最近の日本株は低調だ。米大統領選直後こそ大幅上昇で反応したが、高値更新が続く米国株を横目に4万円手前で足踏みを続いている。「なぜ低調なのか?」をまとめてみた。
米大統領選の開票前夜、日米の株価が上昇していたことから市場は早くもトランプ氏の優勢を株価に織り込んでいた。皮肉にも6日の国内大手紙の朝刊1面には「接戦」「互角」という見出しがあったが、蓋を開けてみるとトランプ氏の「圧勝」だった。株価を表すチャートはいわば世界中の投資家の多数決の結果なのだ。
さて、開票後はその後も「トランプトレード」といわれる、米国株高や仮想通貨ビットコインの最高値更新と、「今が年末ラリーだ」という勢いだった。
その一方で日経平均株価はというと、4万円手前で膠着(こうちゃく)感を強めている。その原因を4つ挙げてみた。
① 少数与党政権、国内政治の不透明感
② 米トランプ次期政権による関税発動の可能性
③ 円安進行(為替介入レート付近)による、日銀の年内利上げ観測の強まり
④ 7-9月期(3Q)企業決算の低調(特に日産やトヨタなど、自動車産業の決算不振)
当初は米連邦議会選挙で劣勢が予想されていた下院も過半数を獲得し、米国は大統領と上下院が共和党のトリプルレッドとなった。トランプ氏が掲げている減税や規制緩和などの政策実行の可能性が増すという思惑で、選挙後の米国株高やドル高につながった。しかし、トランプ氏が財政拡張路線を強めると米国の財政赤字が拡大する懸念もあり、米国金利は上昇している。さらに、移民抑制についても、労働供給の減少→賃金上昇→インフレ再加速と、FRB(連邦準備制度理事会=米国の中央銀行)の利下げペースが〝短くて浅いサイクルになる〟という見方が強まっている。
米国の利下げ観測が後退するとドル高円安になりやすい。14日には4カ月ぶりに156円台となり、7月時の為替介入レートに近づいている。加えて、現在の円安レートは、日銀の年内利上げ観測を高めてしまう。
東証プライム上場企業の7-9月期決算で5割超が純利益で減益または赤字だった。中でも営業利益計画を大幅に下方修正した日産自動車をはじめ、トヨタ自動車の経常利益は前年同期比約20%減となり、自動車産業が低迷した。加えて、トランプ氏の通商政策も不安材料となっている。
ということで、現在の日本株は、貿易面での懸念や日銀利上げにも耐性のある銘柄が物色されている。