大阪・南河内地区の羽曳野市在住、演歌歌手・浅田あつこが地元で開催の7月度「大阪発流行歌ライブ」に出演。トリで登場しメジャーデビュー30周年記念曲「道行き」を花魁(おいらん)姿で熱唱した。
歌舞伎や文楽などで『花魁の道行き』と言えば行き着く先は悲恋の果ての心中。しかし、浅田と同じく大阪に拠点を置いて活動する作詞家・もず唱平が温めていた歌詞は「あんたが死ぬと言ったって、私は死なない。生きて逃げましょ」という内容の強い女唄。浅田は「もず先生には20周年の記念曲『河内おんなのバラッド』を作って頂いたので30周年でもぜひお願いしたかった。『道行き』は既に出来ていて、私が〝この花魁、カッコえぇけど私に歌えるかなぁ?〟と先生の顔見たら〝河内女のあつこやったら大丈夫や!〟と先生にOK頂いて、急きょ弦哲也先生が曲を作って下さいました」と明かす。
さらにこの曲に合わせた衣装デザインをやはり大阪の府立泉尾工高ファッション工学科の女生徒に依頼。試作品が既に8着でき上がっており、近く2着まで絞って採用作を決定。「すごい素敵やねん。ホンマは8着全部採用したいぐらい」と興奮気味。
それまではジャケット写真にもなった鮮やかな赤が基調の衣装を、少し簡略化した花魁風の衣装で歌っている。「ジャケットの衣装メチャ重いねん、簡単に動かれへんよ。それと高っかい衣装で1回レンタルするのに何やかやで20万円ぐらい掛かるねん。ちょっとつらい…」と舞台上でバラすと客席は大爆笑。簡略化花魁風衣装は舞台上で、すそを引きずってシャナリシャナリ。これも浅田にかかると「床、掃除してんねん」とお笑いネタにしてしまう。
本格歌手活動する前に、高校生タレントとして司会やアシスタントなどの芸能活動を舞台やテレビ、イベントなどでこなしており、その時期を含めるとキャリアは実に40年近い。「私、高校の友達みたいに普通のアルバイトしたことないねん」と、デビュー当時と変わらない童顔の丸顔でポツリ。
「おっちゃんちゃうで、あっちゃんやで!」はお約束のフレーズ。アラフィフのベテランに足を踏み入れるキャリアが似合わないいつもの親しみやすさはこれからも彼女の最大のアピールポイントとして常に位置付けられる。
(畑山博史)