「見取り図」盛山 〝ゴジラ並み咆吼〟のワケは?

 関西笑芸レースで最も伝統ある第59回「上方漫才大賞」が大阪尾ロックス劇場で行われ、漫才コンビ「見取り図」が史上最多5回目のノミネートで遂に念願の奨励賞を獲得した。

「3階のお客さん聞こえますか?」とアピールする盛山(左)

 候補5組のトップを切って登場し、スマホアプリの有名人当てゲームをモチーフに広い舞台をいっぱいに使って動き回り、広い劇場の3階席まで笑いの渦に引き込み。実況生中継のカンテレのカメラが追い切れない一幕も。

 出番前のテレビインタビューで、長髪の盛山晋太郎(38)は「新人賞も2回ノミネートされて取れず。今年奨励賞を頂けなければ、もう来年は辞退します!」とハッキリ宣言し背水の陣。司会の大平サブローが「見取り図!」とコンビ名を読み上げると、相方のリリー(39)共々、両手を大きく何度も頭上に突き上げ「ウオォ~」とゴジラ並みの咆吼(ほうこう)。全身で喜びを表現した。

奨励賞受賞が決まり、雄叫びを挙げる「見取り図」の2人

 「見取り図」は5月で結成満17年。結成8年目ごろから急速に頭角を表し、2018年から3年連続で「M-1」決勝に進出。しかし念願の王者には就けず最高位は3位。関西でも主だった若手の賞レースには次々ノミネートされたが受賞を逸し続け、いつしか〝無冠の帝王〟と呼ばれるように。

 3年前に活動拠点を東京に移し、テレビのレギュラー番組も次々持つことになり人気は全国区に。一昨年に「M-1」を結成年制限で卒業。以降は盛山自身が〝競技漫才〟と呼ぶ3~4分間でテンポ速く場内の若い観客にアピールする芸風から、毎年全国ツアーを行って中規模劇場でじっくりと老若男女に評価される10分前後の掛け合いを行う内容にバージョンアップしてきた。

 テレビなどでの露出は順調に増えながら賞レースでは負け続けた昨年までを振り返り、盛山は正直に「〝他の出場者、失敗してくれ!〟と祈った事も。履歴書の職業欄を書く時〝漫才師と書いてエェのかな?〟と思った時もあった。今日ですべて吹っ飛びました」と目は真っ赤。リリーは普段クールなイメージだが金髪にしてから存在感を増し、この日ばかりは「〝勝てた!〟と手応えあったのに賞逸した時は、結果を受け入れられないで荒れたことも」と吐露。

奨励賞のトロフィーを手にポーズを取る「見取り図」の2人

 念願の一線を超えた2人は早くも次の目標を掲げた。6月で40歳になるリリーは「もっともっとオッサンになってから作って演じる漫才が楽しみ」と自信を深め、盛山はもっとハッキリと「僕は大阪で生まれ育ったので上方漫才大賞は子どもの頃からずっと授賞式を見てきた。奨励賞まで5年掛かったから、大賞は誰よりも早く取りたい。最短の1年ではどうかな? 来年本気で大賞取りに行きますよ」と早くも賞盗り宣言した。

(畑山博史)