少子化、光熱費や物価の高騰など私立大学を取り巻く経営環境は厳しさを増している。そんな中、大学の運動部が活動資金を得るため、私立大学だけでなく国立大学でも企業とスポンサー契約を結ぶケースが増えている。企業ロゴなどをユニホームに掲出して広告収入を得るほか、少子化で人材争奪戦が過熱する中、企業にとっても部員やOB・OGらの採用をねらった援助もある。
企業と学生の双方にメリット イメージアップや新卒採用見据え
私立大の定員割れ初の5割超え
今春、私立大の半数超が「定員割れ」だったと、日本私立学校振興・共済事業団が発表した。定員割れは53・3%、5割超えは初めて。
光熱費や物価の高騰などを理由に早稲田、慶応義塾、明治、関西学院といった大規模私立大は最近、多くが学費を値上げしている。
関西の大学でも
近畿大体育会ゴルフ部は2月20日付でSky(淀川区)とスポンサー契約を締結した。法人近畿大学の体育会クラブと企業間のスポンサー契約は2例目だ。
大阪体育大は、大学が各クラブと企業などとのスポンサー契約を一括でマネジメントする新たなスポンサー制度を2023年度から始めた。企業との交渉や契約書の制作などマネジメント業務を行う。
全国で約100店舗のパブを展開する「ハブ」(東京)と10月、スポンサー契約を結んだのは大阪経済大(東淀川区)陸上競技部。10月9日に島根・出雲で開かれた駅伝大会ではロゴマーク入りユニフォームで走った。
有名国立大も
スポンサー契約は私立大にとどまらない。日本一4回、学生日本一6回を誇る強豪チーム「一般社団法人京都大学アメリカンフットボールクラブ」(京都市)は、3月からゼビオグループとスポンサー契約を結んだ。
一橋大男子ラクロス部SERPENTSは、レバレジーズとパートナー契約した。また、大学の運動部を活性化させるため、運営を支える一般社団法人を設立するケースも相次いでいる。法人化によって契約や納税の主体が明確となり、資金調達がしやすいためだ。
企業と学生 双方にメリット
一方の企業側にはどんなメリットがあるのだろうか。企業のPRや注目度だけでなく、学業に励みながら真剣にプレーする大学生をサポートすることで、企業のイメージアップに繋がる。また、部員の就職先の選択肢にもなり、採用に繋がる可能性もある。
運動部への支援で、企業と学生の双方にメリットが生まれている。