【大阪の開発計画まとめ】なにわ筋線開業に期待高まる

西本町駅(仮称)の工事のため、車線規制が行われている「なにわ筋」

 職住近接で利便性が高いことや、公園や緑が多く、快適な都市生活が送れることで人気の大阪市西区。地元では「なにわ筋線の開業でキタ・ミナミへのアクセスがさらに便利になる」と期待が高まっている。これから街はどう変わっていくのか。鉄道の延伸計画と注目の開発をリポートする。

鉄道空白地帯に待望の駅

 31年春に予定されている「なにわ筋線」の開業で最も恩恵を受けそうなエリアは大阪市西区の「西本町駅(仮称)」周辺ではないだろうか。この辺りは阿波座1交差点から見ると、最寄りは大阪メトロ中央線の「本町駅」と「阿波座駅」だが両駅までそれぞれ500㍍ほど離れている。南の長堀鶴見緑地線「西大橋駅」も約700㍍と遠く、都心部のわりに鉄道空白地帯になっている。

 ここに西本町駅が完成すればJR大阪駅の地下ホームに直接乗り入れが可能に。付近の住民にとっては梅田中心部へのアクセスが便利になるのは間違いない。

 さらに、JR難波駅、南海電鉄新今宮駅を結び、関西国際空港へのアクセスがよりスムーズになる。現在、JR大阪環状線を利用している特急「はるか」「くろしお」や関空快速もなにわ筋線を走る計画で、新大阪・大阪駅から関西国際空港への所要時間が短縮される。

 大阪・関西万博の開催地となる夢洲には大阪メトロ中央線が24年度にコスモスクエア駅から延伸する予定だ。注目を集めるベイエリアへ阿波座駅からダイレクトアクセスできる。

大阪最後の一等地

 続いて注目の開発についてキタから見ていこう。再注目のプロジェクトはJR大阪駅北側の「うめきた2期」再開発だ。今年2月には名称が「グラングリーン大阪」に決定し、期待感が高まっている。現在、エリア全体の工事が進行中で、24年夏頃に北街区のホテルや商業施設、都市公園の一部などが先行開業予定。25年春頃に南街区のオフィスやホテル、商業施設などのオープンが予定されている。27年春頃に公園全体が開園し、同年度中に全面まちびらきとなる。

再開発が進むJR大阪駅北側の「うめきたエリア」

新スポットが続々と

 キタの開発は「うめきた」だけではない。旧大阪中央郵便局の跡地を含む大阪駅西地区に地上39階建ての「JPタワー大阪」が24年3月に竣工予定。ビル内には商業施設「KITTE大阪」が同年7月に開業する。同年秋には大阪駅西側に建設中の新駅ビル「イノゲート大阪」が開業予定。

 30年春には大阪マルビルの建て替えが完了し、新しい施設が誕生予定。35年頃には大阪新阪急ホテルと阪急ターミナルビルを建て替え、阪急三番街の全面改修を行う「芝田1丁目計画」が予定されている。

ミナミも様変わり

地上約130mから大阪の街を一望できるセンタラグランドホテル大阪のクルードデッキ

 対するミナミも負けていない。「なんばパークス サウス」には日本初進出となるタイの高級ホテル「センタラグランドホテル大阪」、オフィス空間「パーク サウス スクエア」、「ホテル京阪 なんば グランデ」がオープンし、話題を呼んでいる。

 大阪メトロ「なんば駅」直結の好立地には、大阪メトロ初となる商業・オフィス複合ビル「Osaka Metro なんばビル」が24年3月に開業する。

 26年2月には、御堂筋と長堀通に面した「心斎橋」交差点の角地に地上28階建の複合施設が誕生する。16~28階にはヒューリックグループが運営する「ザ・ゲートホテル」が開業し、最上階には大阪の景色を一望できるルーフトップバーも設けられる。

 南海なんば駅周辺を歩行者天国化する工事が進行中。23年秋ごろに駅前広場の整備を終え、25年3月にはなんさん通りを含めた駅周辺全体の整備が完成する。

 大阪市は「御堂筋将来ビジョン」を策定し、車中心から人中心のストリートへの転換を図るため、御堂筋側道の歩行者空間化を進めている。現在、長堀通から道頓堀川までの側道を閉鎖し、交通の影響を検証した上で東側の側道から整備を進める。こちらも25年3月には、長堀通から現在整備中の千日前通までを完成させる計画だ。

 新線開通により、キタ・ミナミ・ベイエリアなど注目スポット全てにダイレクトアクセスが可能になる西区の価値が今後も高まることは間違いないだろう。

夢洲に延伸する大阪メトロ中央線。今年6月には大阪・関西万博に向けて新型車両400系が導入された
心斎橋交差点に誕生する複合施設「(仮称)心斎橋プロジェクト」の外観イメージ
御堂筋側道の歩行者空間化が進められる