岸和田市で、管理放棄された空き家や竹林の課題を解決する取り組みが進む。地元の不動産会社社長がボランティアと協力し、厄介な竹を特産「岸和田メンマ」に加工。地域の負の遺産を資源として再生させている。

厄介な竹林 「メンマ」に化けた 岸和田の不動産会社
相続で困った土地 食と不動産で再生へ
相続したが、管理も活用もできない空き家や竹林。その困り事を食と不動産の活用を組み合わせて解決しようとする取り組みが、大阪府岸和田市で進んでいる。建築・不動産会社「エスクリエイト」(同市)の笹倉太司社長は、地域のボランティアや大学生らと放置竹林を整備し、若い竹を「岸和田メンマ」に加工。古民家を農家カフェとして貸し出す計画も進め、地域の資源を生かしながら管理を続ける仕組みづくりに挑んでいる。(竹居真樹)
きっかけは同市大沢町にある古民家や農地、約5000坪の竹林を相続した所有者から、宅建協会の元支部長、寺田歩さんに寄せられた相談だった。寺田さんは「様々な課題があるものの 『負動産を富動産に』」と考え、不動産の相続相談などに携わる笹倉さんに協力を求めた。
実は竹は繁殖力が強く、放置するとあっという間に被害をもたらすため、管理の負担や近隣トラブルを招きやすい。笹倉さんは「所有者は自ら管理することが難しく、まとめて手放すことを希望していた」と振り返る。
所有者から古民家と農地、竹林を引き取った寺田さんと笹倉さん。手入れをしながら再び使えるようにするため、共同で「PTC」という会社を設立。古民家の片付けや改修を進める一方で、荒れた竹林は竹を切って運び出すことにした。
ところが、竹林は枯れた竹が折り重なり、立ち入りも難しい状態。「斜面で竹を切り、下まで運ぶ作業には人手と体力が必要」と考えた笹倉さんは地域に協力を呼びかけることにした。約100人超えのボランティアに手伝ってもらい、全体の2割ほどを整備した。
一方で、竹林整備の活動をブログで発信したことをきっかけに、宮崎県で若い竹をメンマに加工する業者のことを知る。切った竹の活用につながると考えた笹倉さんは、現地に赴いて加工方法を学び、昨年から「岸和田メンマ」の商品化に取り組んでいる。
原料に使うのは、高さ1・5~2㍍ほどの幼竹。「放っておけば生い茂る竹も、幼竹時に採れば食材になる」と笹倉さん。収穫して下処理を行い、九州の工場に味付けや包装を依頼。ラベル貼りは地元の就労継続支援B型事業所で行っている。
放置竹林を引き取ったことから始まった「岸和田メンマ」の事業。現在では、笹倉さんの母校、四天王寺大(羽曳野市)の学生が収穫や加工を体験する場となり、商品は市のふるさと納税返礼品にも採用されるなど、学びや仕事につながる産学官の連携が広がっている。
学校給食への提供も目標に掲げる笹倉さん。「すでに市の給食センターに試作品を持ち込んで話を進めている。将来は周辺の農家などから幼竹を買い取り、地域全体の竹林管理につなげたい」と意気込む。
一方で、空き家と竹林の再生の取り組みについて、「同じ課題を抱える地域にも伝えていきたい」と話している。
