【大阪の未来予想図】 大規模開発が目白押し

 うめきた2期、大阪・関西万博、国内初の統合型リゾート施設(IR)と大阪では巨大開発が目白押し。中でも関西の玄関口である大阪駅周辺には新たなランドマークが続々と誕生し、街の雰囲気が一変しそうだ。これからの大阪の主な開発と鉄道の延伸計画をまとめてみた。

広大な都市公園

 最も注目度が高いのは、JR大阪駅北側の「うめきた2期」再開発だろう。今年2月にはプロジェクト名称が「グラングリーン大阪」に決定し、開発の全貌が見えてきた。

 現在、エリア全体の工事が進行中で、2024年夏頃に北街区のホテルや商業施設、都市公園の一部などが先行開業予定。25年春頃に南街区のオフィスやホテル、商業施設などのオープンが予定されている。27年春頃に公園全体が開園し、同年度中に全面まちびらきとなる。大阪最後の一等地が様変わりすることは間違いない。

都市公園を一望できるインフィニティプール

新たなビルが続々と

 旧大阪中央郵便局の跡地を含む大阪駅西地区では地上39階建ての「JPタワー大阪」が24年3月に竣工予定。ビル内には商業施設「KITTE大阪」が同年7月に開業する。6階には客席数1200~1300を誇る劇場が誕生し、演劇やミュージカル、音楽、演芸などのエンターテインメントを繰り広げるほか、関西文化の育成や発信、にぎわいを生む拠点を目指す。

 24年秋には大阪駅西側に建設中の新駅ビル「イノゲート大阪」が開業予定。今年3月に開業したJR大阪駅の新改札口(西口)に直結しており、関西空港へアクセスするJR特急「はるか」が乗り入れる地下ホームとも接続。ルクア大阪が入居するノースゲートビルディングやうめきた2期エリアとも2階の連絡通路で接続する。

 少し先の話だが、35年頃には大阪新阪急ホテルと阪急ターミナルビルを建て替え、阪急三番街の全面改修を行う「芝田1丁目計画」が予定されている。ターミナル駅としての機能を強化 しながら、大阪梅田エリアの複合機能拠点となる開発を目指す。

JPタワー大阪の外観イメージ
JPタワー大阪の南東広場イメージ(JR大阪駅南側から)

阪急の新線構想に高まる期待

 鉄道の延伸計画にも触れておきたい。北大阪急行が23年度末に千里中央から箕面萱野まで延伸。大阪・関西万博への開催地となる夢洲には大阪メトロ中央線が24年度にコスモスクエア駅から延伸する予定だ。

 31年春には「なにわ筋線」が開業予定。JR大阪駅の地下ホームからJR難波駅、南海電鉄新今宮駅を結び、関西国際空港へのアクセスがよりスムーズになる。現在、JR大阪環状線を利用している特急「はるか」「くろしお」や関空快速もなにわ筋線へ走る計画で、新大阪・大阪駅から関西国際空港への所要時間が短縮される。

 阪急電鉄は、JR新大阪駅と阪急十三駅を結ぶ「新大阪連絡線」と、十三駅とJR大阪駅の地下ホームを結ぶ「なにわ筋連絡線」を整備する検討を進めている。

 阪急電鉄の新たな路線は「なにわ筋線」に直接乗り入れる予定で、実現すれば阪急のターミナル駅である「十三」から、関西国際空港や新大阪駅へのアクセスが格段に向上することになる。

阪急電鉄の十三駅。新線構想が実現すればより快適な鉄道ネットワークが構築される

十三・新大阪でまちづくりが加速

  阪急阪神不動産は阪急「十三」駅からほど近い、もと淀川区役所跡地で「官・民・学」による複合開発を行う。東側敷地(約7300平方㍍)には地上39階建て、総戸数712戸のタワーマンション「ジオタワー大阪十三」のほか、市立図書館、保育・学童施設、スーパーマーケットなどを整備。また、地域交流の場として活用できる、約2400平方㍍の公開空地を設ける。

 西側敷地(約1600平方㍍)には学校法人履正社が運営する医療系専門学校が開校する。

 大阪市の横山英幸市長は「長らく手付かずだったが、地元の悲願でもある図書館機能と新しい複合施設が建つ。ビジュアルも大きく変わり、ますます魅力あふれる街になる」と期待を寄せている。

 また、新大阪駅周辺は昨年10月、規制緩和や税制特例が受けられる「都市再生緊急整備区域」に国から指定された。北陸新幹線やリニア中央新幹線の新駅の設置が想定される40年をめどにまちづくりを進める。大阪府の吉村洋文知事は「大阪の成長に向けて、新大阪駅周辺の整備は極めて重要だ。西日本の一大ハブ拠点として、まちづくりに力を入れていきたい」と述べている。

もと淀川区役所跡地の複合開発完成イメージ