変化を生き抜くか、日常を浪費するか 世界と繋がるZ世代が見せてくれた現実

 先日、20代前半の若いフォトグラファーがソウル市内の書店で写真集のサイン会をするということで現場に行ってきた。
 ソウルでは日本の前衛的な写真集が人気で、多くの日本人作家の作品が並べられており、篠山紀信から無名の新人までこだわりの作品がそろえられていた。
 サイン会に来ていたのは若者たち。それもソウルに住む韓国人だけでなく、ロンドンやニューヨークなど海外から訪れた人もいた。先週は東京で展覧会を開き、今週はソウルにいるので立ち寄ってみたなど、彼らは日常的に国境を超えて移動したり、数年で居住地を変えたりしていると聞き、驚いた。母国語に加えて英語を話せる人も多く、日本語、韓国語、英語が混じり合った会話で交流。同じノリを共有し、早いテンポで会話が進み、出会って15秒ほど会話をするとインスタで互いのアカウントを交換していた。
 筆者も仕事柄、初見の人と一緒に仕事をすることはあるが、会話を重ねて相手を理解していき、夕食などを介してフェイスブックなどで繋がり、グローバルなネットワークを広げてきた。
 しかし、彼らはそれよりも圧倒的にスピードが早く、ノリが軽い。とにかく繋がることが大事で、その中から仕事が得られたり、次のパスへの道が開けたりしているようだ。
 今回はたまたまフォトグラファーを起点にアートやファッションのクリエイティブな世界を垣間見たが、他の業界でも状況は同じだろう。ITやクリエイティブ、製造や物販など国境があまり関係ない分野はこの傾向が一層強く出そうだ。
 彼らは俗にいうZ世代。これからの世界経済を引っ張る最初のデジタルネイティブだ。面白いのが、彼らにとって、2004年以降に生まれた人たちからα世代(アルファ世代)と呼ばれるもう一つ下の世代は全く違う存在のようで、その差は最初の携帯電話がガラケーかスマホだという。小学生の頃にガラケーを使ったことのある世代はインスタを利用し、スマホだった世代はTikTokを多用するらしく、この違いが行動や考え方に大きな影響を及ぼしているというのだ。
 筆者からすると、ひとくくりにしてしまいそうな世代だが、実は大きな違いがあることを学んだ。これだから若者と一緒にいるのは楽しい。急速に変化する世の中を素直に受け入れ、自分たちも変化していく。こうした柔軟性がないと生き抜いて行けないほど変化が激しいのも事実だ。
 彼らのような一団が世に存在する一方、狭い世界、日常の生活圏だけで日々を過ごしている若者がいるのも事実。暇だからと言って、SNSで意味のない動画を観て過ごしたり、必要のないコメントに返答したり、プロになるわけでもないのに毎日ゲームをして時間を浪費する人たちは、その先に明るい未来が来ないことを理解しているか、と心配になる。
 グローバルに活動し、自らの行動力と努力で道を切り開き、チャンスをつかみ取ろうとしている若者と、努力もせずにただ日常を過ごす若者の間に大きな差が生まれるのは明らかだ。その結果を社会や政治のせいにしてもしょうがない。
 世界はものすごいスピードで進化、変革している。自分には見えていない世界が存在することをまずは知ることだ。

【プロフィル】米ニューヨーク州立大ビンガムトン校卒業。経営学専攻。NY市でメディア業界に就職後、現地で起業。「世界まるみえ」「情熱大陸」「ブロードキャスター」「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、ディスカバリーチャンネルやCNAなどのアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。
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