【葬儀の現場から】エンディングライフサポート葬祭
「葬式を終えてからが本当の支援の始まり」大阪市内の「エンディングライフサポート葬祭」が対応した一件が、高齢化や認知症、障害のある家族を抱える世帯で、葬儀後の生活支援がいかに重要かを浮き彫りにしている。
亡くなったのは60代前半の女性。1年前に夫が他界し、自宅で独り暮らしをしていた。認知症で施設入所中の母親と、障害のある30代の息子がいる。
発見のきっかけは、近所に住む義理の弟との食事の約束だった。待ち合わせ時間になっても姿を見せず、心配した親族が自宅を訪れ、室内で倒れている女性を見つけた。管理人のいない戸建て住宅で、発見が遅れていても不思議ではなかったという。
最初に葬祭会社へ連絡したのは、施設に入る母親を担当するケアマネジャーだった。母親には司法書士が保佐人として関わっており、相続や財産管理の手続きにも対応していた。
しかし、母親は認知症で意思決定が難しく、息子も喪主を務められる状況ではない。このため、親族や司法書士、ケアマネジャー、葬祭会社が協議し、喪主を立てずに葬儀を営むことになった。
葬祭会社の担当者が自宅を訪れると、室内はごみが散乱し、猫の飼育の影響もあって衛生状態が悪化していた。女性自身も体調を崩していたとみられる。担当者らは葬儀準備と並行して遺品整理や清掃を進め、施設に入る息子が将来帰宅できる環境づくりにも取り組んだ。
司法書士は葬儀にも参列し、遺族とともに会食に参加。その日のうちに必要な手続きを整理し、相続や財産管理の方向性を示した。葬祭会社側は「専門知識だけでなく、人に寄り添う姿勢があった」と振り返る。
今回、息子は相続人となるが、自ら手続きを進めることができない。葬祭会社は、母親の保佐人を通じて息子の後見申し立てを依頼した。後見人が選任されれば、法要や納骨、財産管理、生活支援を継続的に行える見通しだ。
担当者は「本来なら30代の息子が喪主になる立場だが、それができない現実があった。後見制度の必要性を強く感じた」と話す。
同社は今回の経験を通じ、「葬儀社の役割は式を執り行うことだけではない」と強調する。認知症や障害、独居、高齢化が重なる家庭では、葬儀後の生活設計まで視野に入れた支援が求められるとして、後見制度や遺言制度の周知にも力を入れる考えだ。
担当者は「同じ家族は一つとしてない。残された人が安心して暮らせるよう、必要な支援をつなぐことが私たちの仕事だ」と語った。

<取材協力>エンディングライフサポート葬祭/大阪市阿倍野区阿倍野筋5丁目13−10/電話(0120)805787
https://endinglifesupport.com/
