歌って踊れるスピード感ある若手男性歌手全盛の演歌・歌謡界で、バラードと歌謡芝居を得意として伸びてきた伊達悠太が、2022年6枚目のシングル「涙のララバイ」以来毎年楽曲提供を受けている杉本眞人作の新曲「情なし」を出した。今回はワルツやロックのリズムを生かしたアップテンポの曲。キャンペーンで来阪した伊達に思いを聞いた。

現在の芸名となって10年目だが、誕生日が来れば今年39歳。故郷の北海道・伊達市から高校卒業と同時に歌手を目指して上京して22年、苦しい下積み時代も経験した苦労人だ。
「まず詞が上がってきて、杉本先生がご自身でギターを弾かれて曲のデモテープ。ボクは〝進化系バラードを残して下さい〟とお願いしたんですが、先生は〝次はワルツでロックだ!〟とおっしゃって」と説明。そこは長い歌唱経験を生かし、レコーディングではダンサブルでポップス調のアップテンポな曲を一気に歌い上げた。杉本メロディーらしいテンポが速くなっても歌詞の言葉がしっかりと伝わる内容で、伊達らしい声の力強さも生きている。「7月29日が新譜発売なので皆さんに本格的に生歌で聞いて頂けるのは8月から。9月には『KOBE流行歌ライブ』にも出して頂けるのでお客さんの反響が楽しみ」と笑う。

故郷の伊達市から市観光大使第1号のお墨付きをもらった。「故郷の伊達を芸名に使わせてもらい、生まれ育った街にやっと少しだけ恩返しできたと思う。9月5日に地元ホテルで地元後援会に主催して頂いてメジャーデビュー15周年のランチライブができる。懐かしい方々と会えるのが楽しみ」としみじみ。

伊達には長編歌謡浪曲をさらに進化させた歌謡芝居という、他の歌手が手掛けていない秘密兵器がある。たとえば、渡世人・番場の忠太郎が生き別れた母を訪ねる股旅物の定番「瞼の母」は、通常なら忠太郎と母おはまのやり取りのみで展開する。伊達は忠太郎の異父妹を登場させ、より原作の長谷川伸の戯曲に近い構成に仕上げている。下積み時代に少しでも独自性を出して目に止まろうとした努力が今の伊達を下支えしている。「歌っている時は少し余裕が持てるようになりましたが、まだまだ後ろを振
り返る時じゃない。上京してきた時の挑戦者の気持ちを忘れないように」と自らに言い聞かせた。

(畑山 博史)
