大阪市在住の漫画家、萱乃童(かやの・わらべ)さん(37)は、30歳まで大型トラックの運転手として働いていた異色の経歴を持つ。萱乃さんの最新作「おひとりさま、母になる」(著・萱乃童/シーモアコミックス)が、本日、25日から配信された。

同作は、独身生活を送る主人公があるきっかけから中学生の姪を預かるという物語だ。子どものいる家庭への劣等感や嫉妬、自分なりの幸せをどう見つけるかといった感情が軸になっている。恋愛を前面に出すのではなく、内面の揺れや葛藤に重点を置いたヒューマンドラマとして形にした。
転機は、飲酒中心の生活への危機感だった。幼い頃から絵を描くのは好きだったが、長く創作から離れていた。「ちょっとまずいな」と生活を見直す中、30歳の頃に漫画家育成講座で学び始めた。持ち込みをきっかけに担当編集者が付き、萱乃さんは当時を振り返って「漫画を描くのは楽しい」と初めて強く感じたという。漫画に挑戦し、「これや!」と思えたことが、創作の道へ進むきっかけになった。

萱乃さんは自身の作風について、「人間の深層心理を掘り下げていくのが好き」と話す。周囲の目を気にしすぎて自分の本音が分からなくなる感覚は、自身の経験とも重なるという。作品では、登場人物が迷いや劣等感を抱えながらも、自分の本当の気持ちに気づいていく過程を描こうとしている。
制作面では、女性向け漫画と男性向け漫画の違いも強く意識している。男性向け漫画は表情や出来事で展開を見せることが多い一方、女性向け漫画はモノローグ(心の思いや感想)や心理描写を細かく積み重ね、感情の動きそのもので読ませる傾向が強いという。「心理描写を考えるのが大変」と制作の難しさを明かした。
現在は電子コミックを主な発表の場としているが、今後は青年漫画にも挑戦したい考えだ。単行本化や映像化も目標に掲げており、「自分の手で新しい世界を作れるのが楽しい」と前を向いている。
(竹居真樹)
