「ワクワクドキドキ」を核にした教育へ 利晶学園小・江川順一校長が断行した3年改革

 堺市東区の「はつしば学園小学校」は2025年4月、「利晶学園小学校」へと校名を変更し、新たな一歩を踏み出した。この変革を力強く牽引したのが、23年度に着任した江川順一校長だ。「現状維持は後退そのもの」と言い切る江川校長は、着任からの3年間で産学連携やグローバル教育を矢継ぎ早に強化。定員充足率の劇的な回復という、目覚ましい成果を挙げている。

ミキハウスルームを紹介する江川校長

ミキハウスとの連携

 改革の柱の一つが、大阪が世界に誇るブランド、ミキハウス(三起商行)との企業連携だ。校長が自ら働きかけ、ナイロンの7倍の強度を持つ超軽量素材を用いた、オリジナルランドセルの開発に着手。プロトタイプを児童に試着させて改良のアドバイスを行い、完成品を自校指定とした。
 このランドセルは全国のミキハウスショップでも販売され、大きな話題を呼んだ。エントランスにはカラフルなスツール(背もたれや肘掛けのない簡易椅子)を備えた「ミキハウスルーム&ライブラリー」を設置。時計や扉までミキハウスカラーで統一し、学校全体で「ワクワクドキドキ」を感じられる環境を整えた。

ミキハウス特注のランドセルとサブバッグ

 また、同社がサポートする五輪金メダリスト、レスリングの文田健一郎選手や樋口黎選手、冒険家の坂本達氏を招いた特別授業を実施。トップアスリートらの熱い言葉は、児童の心に挑戦する心を育んでいる。

ミキハウス金メダリスト講演会

世界へ飛躍する人材を

 また「堺から世界へ」という理念を形にするため、英語教育と海外体験など、グローバル教育も進化させた。5年生のオーストラリア・ケアンズへの修学旅行は、単なる観光ではない。現地で「自然文化大使」としての任務を遂行する「ミッション型」へと転換した。1年生から週4時間の習熟度別授業を行い、iPadを活用した個別学習を推進。その英語力は、外国人記者クラブで開催される全国規模のスピーチコンテストに代表が選出されるほどに成長している。

数値が語る「選ばれる学校」への復活

 江川校長の改革は、私立小入試という厳しい土俵において、数字となって表れた。26年度の入学見込み数は98人に達し、17年ぶりの高水準を回復。在籍者数は過去10年間で最多の560人。転入学者も過去20年間で最多の16人を記録するなど、学校への信頼はかつてないほど高まっている。難関中学への合格実績を伸ばしつつ、内部進学率も48.3%へと上昇。進学面でも隙のない体制を築き上げた。さらに今年度からは地元企業や卒業生と連携した「起業家精神を学ぶカリキュラム」を導入予定。校内農園で育てた野菜を商品化し、百貨店で児童自らが販売する。

 江川校長は「外部との連携において最も重視しているキーワードは『ストーリー』。保護者や卒業生のみならず、企業とも連携を図ることで、多角的な視点から子どもたちの成長を支える環境を整えるのが狙いだ。教育環境が激しく変化する現代において、変化を恐れず挑戦を続け、関西の小学校の底上げにつなげたい」と決意を語った。

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