「聴覚障害は弱みではなく強み」 ブリッジハートが描く、新しいつながりの形

【大阪の女性起業家特集】一般社団法人Bridge Heart 代表理事 池田優里さん

「聴覚障害があるからこそ、自分に自信を持ち、自分らしく生きていける社会へ」。池田さんの言葉は温かく強い

 聴覚障害の悩みを持つ人たちをアプリでつなぐコミュニティを提供する「ブリッジハート」は、代表の池田さん自身が生まれつき聴覚障害を持つことが原点になっている。池田さんの幼少期は、SNSもネットもない時代。家族は、新聞やテレビ、支援学校を頼りに手探りで情報を集めるしかなかった。高校生になってからは、聴覚障害に関するイベントに参加し、100人を超える親たちと交流する中で、現代でも同じ境遇の人とつながることが難しいという現実を知った。聴覚障害と一言でいっても、聞こえの程度や使用する機器、家庭環境など背景は複雑で不安は千差万別。そこで「同じ境遇だからこそ分かり合えるつながりをつくりたい」と感じたことが起業の決め手になった。

 2025年には大阪・関西万博のオーストラリアパビリオンでスピーチも行い、ブリッジハート誕生の物語や夢を語った。

 池田さんが最も大切にしているのは、聴覚障害を弱みではなく強みとして捉える視点だ。社会には「かわいそう」「がんばっている」といった無意識のマイナスイメージが残るが、それは親の心にも影響を与えてしまう。池田さんは「できないところではなく、得意なことを伸ばしてほしい」と語る。耳に頼らない分、表情や空気感を読み取る観察力が育ち、デザインの世界で活躍する人も多い。音が聞こえなくても、振動や手拍子を頼りにダンスを楽しむ人もいる。正しい情報があれば広がる可能性を何度も目にしてきた。

 最近は難聴児を持つ父親だけの交流会も開催する。支援施設などでは母親中心になりがちで、父親は相談しづらく孤独を抱えやすいという声に応えた。この会は毎回大きな反響を呼んでいる。

 さらにポッドキャストなどによる情報発信にも積極的で、「聴覚障害にも多くの可能性がある」という前向きな印象を社会に届けたいと願う。「聴覚障害は弱みではなく強み」。池田さんの言葉は、当たり前のように使われる〝障害〟という言葉の意味を問い直し、子どもの可能性を信じる大切さを静かに伝える。

 詳細はホームページ(https://bridge-heart.com/)へ。

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