現金給付で「税の不公平」解消へ 税と社会保障の「国民会議」設置
政府は今月、税金と社会保障を根本から見直す「国民会議」を設置する。高市総理が1月5日の年頭会見で表明した。最大の注目は、低所得世帯へ現金を直接配る「給付付き税額控除」の検討だ。所得が低く減税の恩恵を十分に受けられない世帯に、差額を現金で補うことで不公平をなくす仕組み。
今月から「年収の壁」引き上げや住宅ローン減税拡充などの負担軽減策が始まっている。新たに設置する会議では、こうした個別の措置も含めた将来も安心できる税の形を今秋までに議論する。
負担軽減策が焦点

与党は昨年12月、今年度の税制改正の基本方針をまとめた。物価高の中、家計への配慮をにじませた内容が目立つ。「年収の壁」の引き上げや住宅ローン減税の拡充、自動車税制の見直し、少額投資非課税制度(NISA)の対象拡大などが焦点だ。
年収の壁、178万円へ
所得税は、基礎控除と給与所得控除を差し引いた残りに課税される。現在、年収200万円以下の人は両控除の合計が160万円で、これ以下なら所得税はかからない。
今回の改正では、来年から年収665万円以下の人を対象に、基礎控除を104万円、給与所得控除の最低額を74万円に引き上げる。これにより、非課税となる「年収の壁」は178万円に拡大する。
減税効果は、年収200万円の人で新たに年4000円程度、今年限定の措置と合わせると年約2万7000円となる。年収600万円の場合は、新たな減税分に今年の分を加え、年約5万6000円が軽減される。低所得層に加え中所得層にも恩恵が及ぶ内容だ。年金生活者や個人事業主も、計算方法は異なるが減税対象となる。
住宅ローン減税を5年延長
ローン残高の0.7%を所得税や住民税から差し引く住宅ローン減税は、期限を5年間延長した。加えて、住宅価格高騰を踏まえ、中古住宅への支援も拡充。今年1月1日以降の入居分から適用される。
対象となるローン残高の上限は、一定の基準を満たす省エネ住宅で3000万円から3500万円へ、子育て世帯などは最大4500万円へ引き上げる。控除期間は最長13年に延び、最大控除額は約409万5000円に増える。
また、床面積要件も条件付きで50平方㍍以上から40平方㍍以上に緩和され、コンパクト住宅も利用しやすくなる。
自動車税制は明暗
自動車関連は減税と増税が混在する。購入時に燃費性能に応じて最大3%が課税されてきた「環境性能割」は今年3月末で廃止。300万円の車なら最大約10万円の負担軽減となる。
一方、車検時の重量税などを減免するエコカー減税は28年4月末まで延長されるものの、5月以降は燃費基準が厳格化され、増税となるケースも出てくる。
電気自動車(EV)は重量税などの負担を増やす方針だ。ガソリン税がない点や、車体重量による道路への負荷が理由。具体的な税額は今後検討される。一方で、EV購入補助金は1月から増額予定で、購入時には補助金と税負担双方の確認が必要だ。
未成年もNISA対象に
投資で得た利益が非課税となるNISAは「つみたて投資枠」に限り、18歳未満に対象を拡大する。年間投資上限は60万円、保有総額は600万円とし、来年に開始する。

財源確保が課題
今回の改正はインフレに配慮した内容が多い。一方で、国の財政悪化を懸念する声もある。大綱には給付付き税額控除の導入を視野に、低・中所得者層の負担と給付の在り方を検討する方針も盛り込まれた。
財源に目配りしつつ、真に生活が厳しい人々の暮らしを底上げできる制度設計が求められる。
(竹居真樹)
