障害当事者自らが講師を務める、超実践型の研修 一般社団法人HI FIVE

 「話せない、動かせない」障害者当事者とコミュニケーションをとりながら介助を実践的に学んでもらおうと、障害児・者、高齢者支援に関わる介助員向けの超実践型の研修活動に励んでいる母子がいる。

 この母子は一般社団法人HI FIVE(ハイファイブ)の共同代表の畠山織恵さん(西淀川区)と重度脳性麻痺の長男亮夏さん(同)。亮夏さんは高校在学中、自分自身の体験を元に「生きる教科書プロジェクト=イキプロ。」を考案し、2018年6月に「親も子も障害にとらわれない自分らしく生きる人生」を目指して同法人を設立。現在は企業での研修、大学及び専門学校での講師業と並行し、普段の生活や試行錯誤する様子をありのままにYou Tubeで発信している。亮夏さんは「研修では上手にやらなければならないと不安に思うかもしれませんが、僕でたくさん失敗してもらえれば。少しでもコミュニケーションのハードルを下げたい」と話している。

 母で同じく代表の織恵さんは亮夏さんとの暮らしと、能力開発事業に12年間携わった経験から、障害児向けに2014年、「体験・経験」を五感で習得する「GOKAN療育プログラム」を独自で監修。障害児支援施設を中心に療育を提供してきた。織恵さんは「研修の受講者からは、『障害者も一人一人違う。介助技術だけでなく、その人自身に向き合う大切さを実感した』という声を多くいただきます。心を通わせることで、介助者は障害者の人生を変える人になれる」と話す。現在は講演と執筆活動で障害の有無に関わらず、すべての人に「生きる希望」を届けている。
 織江さんは7月7日、初の著書「ピンヒールで車椅子を押す」をすばる舎から出版する。

 ◇研修受講者の募集◇

 一般社団法人HI FIVE(畠山亮夏、畠山織恵共同代表)は障害児・者、高齢者支援に関わる介助員向けの研修会の受講者を募集している。自ら肌で感じ学ぶことで、現場でも学びを活用し、臨機応変な対応につなげる体験・実習型の研修(研修は講師が出張して行う)。定員は30人、研修時間は合計10時間30分。受講料1人10万円。講師は畠山亮夏さん、畠山織恵さん、生活介護施設エース代表、牧之瀬武史さん(食事介助実習)。研修には助成金が活用でき、受講者一人に付き、①正社員の研修(5万8620円)②パート従業員の研修(7万5120円)が助成される。詳細は、一般社団法人HI FIVE事務局(contact@hifive.work)へ。