日本銀行は18、19日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0・5%から0・75%へ引き上げることを決めた。市場の事前予想通りで、利上げは同年1月以来、約1年ぶり。政策金利が0・5%を上回るのは1995年以来、約30年ぶりとなる。決定は全員一致だった。
日銀は声明文で、利上げ後も実質金利は大幅なマイナスが続くとし、「緩和的な金融環境は維持される」と強調した。その上で、今後の金融政策については「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と、従来の方針を踏襲した。
植田和男総裁は会合後の記者会見で、今回の利上げについて「トランプ関税を巡る不確実性は低下しており、個人消費も堅調だ」と述べた。一方で、市場が期待したような追加利上げへの踏み込んだ言及は控え、「現実の賃金や利息は極めて低い水準にあり、経済を下支えしている」との認識を示した。
政策金利が約30年ぶりの高水準となった点については、「特別な意味を持つものではない」と指摘。今後の利上げ判断については、「実質金利や賃金動向などを総合的に見ていく必要がある」と述べ、時期や幅の明示は避けた。次回以降の政策運営についても「次、その次の会合に入ってくるデータ次第」とし、慎重姿勢をにじませた。
会見では為替動向にも言及があった。複数の政策委員が、最近の円安が基調的な物価に影響を与える可能性を指摘したという。長期金利(10年債利回りなど)の上昇に対しては、「市場で例外的な動きがあれば、機動的に国債買い入れオペの増額を行う」と語った。
今回の利上げは、米国の連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じる中で実施された。市場関係者の間では、過度な円安が進んだ場合、為替介入を行う環境が整ったとの見方も出ている。為替介入は段階を踏んで実施されるとされ、財務相や財務官から「あらゆる措置を排除せず、必要な対応を取る」「レートチェックを行う」といった発言が相次げば、〝実弾〟と呼ばれる実際の市場介入への警戒感が高まりそうだ。
