大丸心斎橋店(大阪市中央区)は2026年に開業300周年を迎える。つまり、今年は開業以来299回目のホリデーシーズンなのだ。
300年前といえば江戸時代で徳川吉宗が将軍だった時期。

そんな時代から営業している大丸心斎橋店は、11月15日から12月25日まで特別なホリデーシーズンを迎えていて、館内やショーウィンドウではスペシャル感満載の飾り付けがなされている。




300周年を迎える大切な節目に、館内では世界で活躍するアーティスト、ドナルド・ロバートソン氏のオリジナルアートがあちこちにディスプレイされて来館者を出迎えている。
サンタのソリをひくのはトナカイではなく、ウサギやカメ、ペリカンにクジャクと珍しい顔ぶれ。それはなぜかというと、これらの動物は全て、本館のヴォーリズ建築に描かれている動物たちだから。



〝大大阪時代〟のランドマークとして1933年に完成した大丸心斎橋店旧本館は、アメリカ出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズにより設計された。約80年の時を経て、2019年に大規模な建替えを実施し、新本館としてグランドオープンした。
歴史ある外壁をまるごと保存再生、意匠的価値の高い内装材も可能な限り再利用・復原し永く心斎橋の地で愛されたヴォーリズ建築を継承している特別な存在の建築物でもある。
建築物ツアーでも高い人気を誇る同建物は、随所にあしらわれた動物の意匠を探しながら巡る楽しさが魅力だ。クリスマスシーズンを迎え、館内には赤や緑の装飾が施され、サンタとのコラボ演出も加わるなど、この時期ならではの見どころがそろっている。
館内に施された代表的な動物の意匠を以下で紹介する。興味を持った人は、実際に足を運んでその魅力を確かめてみてはいかがだろう。
▼御堂筋側入口

歩みが遅くとも努力して前へ進むことの大切さを説いた「ウサギとカメ」のイソップ寓話(ぐうわ)から引用したとされる。
▼御堂筋側入口 館内欄間

互いを理解し思いやる大切さを説いた「キツネとツル」のイソップ寓話から引用したとされる。
▼御堂筋側 入口上

左から鷹3羽、ペリカン3羽が並び、下段には羽を広げた孔雀2羽のレリーフ。「鷹」は勇猛さや優雅さを表し、ステータスの象徴ともいわれている。

▼心斎橋筋側 入口上

1925年大丸心斎橋店の店舗拡張の際に設置された孔雀レリーフ。木造店舗焼失からの再建を願い〝不死鳥〟を発注したところ、貴重で珍重される〝孔雀〟が提案されたというエピソードが残っている。
