「タッカッタッカタカ、タカタタカタタカタタッタン。ジャジャーン!オーレッー!」激しく床を踏み鳴らすフラメンコの踊りとギターのリズム。
しかし、今回披露されるフラメンコは、ただのフラメンコのダンスではない。フラメンコに加えて創作ダンスに歌やピアノ、そしてナレーションが入るお芝居シーンもある創作舞踏音楽劇「VOICE POWER」。12月14日に堺筋本町にあるスタジオラクーナ(大阪市中央区久太郎町2)で上演される。

フラメンコの聖地スペインのセビージャで20年以上、フラメンコを踊り続けてきたフラメンコアーティストの勝部理子さんが一人ずつ声をかけて集めたメンバーによる舞台パフォーマンスが一度限りで上演される。



社会への不満や疑問、将来への不安、直面する日々の課題。このような問題をテーマに、フラメンコのステップを踏みながら芝居風にストーリーを展開させていくというかなりユニークなスタイルでみせる舞台だ。
フラメンコショーという名目にはなっているが、実際はフラメンコの要素を取り入れた芝居と歌と踊りが融合された唯一無二のSHOWだ。

勝部さんはセビージャでフラメンコを学んでいる中で、何度も日本人の持つ価値観や常識を打ち砕かれてきた。固定観念をなくし自由な発想の元、自分の意思を持って行動することを学んだ。

その後日本に帰国して感じたことは「生きづらさ」であり「閉塞感」だった。彼女の目に映る日本社会には問題が山積され、格差が広がり、老若男女、特に若者が未来を描けず、頑張っても報われないと嘆いている姿だった。
「その闇に光を当てたい」と思い、その表現方法としてフラメンコを選んだのだ。創作舞踏音楽劇「VOICE POWER」は、フラメンコのステップやギターの演奏、カンテの歌声などをうまく活用してフラメンコパフォーマンスのように感じられるのに、目の前で行われているのは役者が芝居を演じている、という不思議な状況を作り出している。
フラメンコは元々アンダルシア地方のジプシーたちが生きづらさや社会への不満を表現するために生まれたものなので、勝部さんがフラメンコで表現しようとしたことは、本来フラメンコが表現してきたものと共通するものでもある。
「今の世の中に不満があったり、生きづらさを感じている人にぜひ観てもらいたい」と語る。舞台を通じ、少しでも共感し、何かの役に立ててもらえればとの思いでステージに立つという。観客の表情からその思いが伝わったと感じられた時、フラメンコを踊る勝部さんと仲間たちは、気持ち良く舞台を降りられるのかもしれない。
開演は午後1時半。入場料は4,500円。
■「VOICE POWER」事務局
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