商業・サービス業でも申請できる「ものづくり補助金」 

補助額は最大4000万円、第20次申請締切迫る

 誤解されがちですが、「ものづくり補助金」は製造業に限らず、幅広い業種業態の中小企業者等を対象とした補助金です。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で、革新的な新製品・新サービスの開発や海外需要開拓に必要な設備投資等を支援することにより経済活性化を実現することを目的としています。
 申請枠は、① 製品・サービス高付加価値化枠、② グローバル枠の二つに分かれています。これに加え、大幅な賃上げや最低賃金引き上げに取り組む事業者に対しては、補助上限額又は補助率が引き上げられる特例措置も設けられています。
 対象となるのは、表1に掲げる中小企業者・小規模事業者のほか、表2に該当する資本金10億円未満の特定事業者。さらに、組合又は連合会、特定非営利活動法人、社会福祉法人などの団体も申請が可能です。
 補助金対象の基本要件は、①付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率が3%以上であること、②従業員及び役員それぞれの給与支給額の年平均成長率が2%以上であること、③毎年の事業所実施都道府県における最低賃金より30円以上高い水準とする3項目です。さらに、従業員が21人以上の事業者には、「仕事と子育ての両立支援」も追加要件として課されます。
 実際のところ、これらすべての要件を満たすのは簡単ではありません。令和6年度に実施された第18次公募では、申請者5777者のうち、採択されたのは2070者にとどまり、採択率は35・8%となりました。
 申請時には、3~5年にわたる事業計画の策定が求められます。計画期間の最終年度に基本要件を達成できなかった場合、補助金の返還義務が発生するため、実現可能性の高い計画を立てることが重要です。
 事業計画書の作成に不安がある場合は、よろず支援拠点等の公的支援機関の相談窓口や国の認定を受けた認定経営革新等支援機関などの専門家への相談も有効な手段です。
 『計画の精度が採択率を決める』といっても過言ではありません。まずは足元をつめ、着実な成長戦略を描いてみては。

[プロフィル] なにわのみやコンサルティング増田昌代 1972年生まれ。立命館大学大学院経営管理研究科修了(MBA取得)、中小企業診断士。大手IT企業の経営企画室での経験を基盤に、複数業界でのキャリアを構築。東証上場企業の広報IR責任者を経て2024年に独立。データ分析に基づくWEBマーケティング戦略立案と各種補助金活用支援を得意とし、中小企業の持続的成長をサポート。