
東京商工リサーチ(東京都千代田区)はこのほど、2024年の全国の倒産発生率を発表した。
全国の企業倒産は1万6件。1万855件だった2013年以来、11年ぶりに1万件を超えた。全国の倒産発生率は0・19%で前年より0・03ポイント上昇した。
全国9地区すべてが2年連続で前年を上回ったが、倒産発生率は近畿圏が0・3%、関東圏が0・2%、その他地域は0・1%台と近畿圏が突出している。都道府県別では大阪府が倒産企業数1348件、倒産率0・35%でワースト。次いで、京都府の349件0・32%、東京都1 7 8 2 件0・28%、兵庫県570件0・28%、滋賀県138件0・26%の順。
一方、最も低かったのは佐賀県の0・07%。このほか、鹿児島県、沖縄県、長崎県の0・08%、宮崎県0・10%と下位5県を九州勢が占めた。九州以外では、四国も総じて低く、西日本で上位と下位の二極化が鮮明になった。
業種別では、ワーストが「情報・通信業」0・56%、次いで「建設業」0・40%、「運輸業」0・36%、「卸売業」0・35%、「一次産業」0・26%。一方、最も倒産率が低いのが「不動産賃貸業・管理業」の0・03%だった。
ゼロゼロ融資の返済物価高が影響
近畿圏ならびに大阪府内では、どのような業種の倒産件数が多かったのか。近畿圏では、ワーストが「建設業」0・76%、「情報・通信業」0・50%、「卸売業」0・49%、「一次産業」0・37%と続いた。
一方、大阪府内では、「一次産業」1・04%、「建設業」0・94%、「運輸業」0・58%、「情報・通信業」0・43%、「卸売業」0・41%となった。大阪府内では倒産件数のうち、個人事業主が倒産の39・1%を占めていることもワーストの要因の一つとなっている。
コロナ禍の支援策の縮小と同時に、企業倒産は2022年から3年連続で増勢をたどっている。ゼロゼロ融資と言われる日本政策金融公庫の「新型コロナ特別貸付」の返済、物価高が影響しており、日銀の政策金利引き上げ決定で借入金利が上昇し、住宅ローンの基準金利がさらに上昇する可能性がある。同社はこれまで比較的堅調だった不動産市況の変化にも注意が必要としている。
大阪特有の状況について、同社の関西支社情報部藤本真吾氏は「インバウンドに人気のエリアに需要が集中しており、特に飲食店ではスタッフの確保に疲弊するケースが増加している。一方、インバウンドの恩恵を受けないエリアでは、個人消費が振るわず脱落していくケースが増える」と話す。
調査は、総務省統計局の「令和3年経済センサス」の事業所数と負債総額1000万円以上の倒産件数で「倒産発生率」を東京商工リサーチが算出し、分析したもの。(加藤有里子)