〝歌う看護師〟の入山アキ子 過去の楽曲をすべてニューバージョンに

 防衛医大病院の看護師長(防衛省技官)出身で〝歌う看護師〟として活動する演歌歌手、入山アキ子が10月度「大阪発流行歌ライブ」に出演。今秋はプロデビュー20周年を記念するような単独行事がめじろ押し。28日には生まれ故郷の山口県美祢市を象徴する秋芳洞で史上初の洞窟コンサート開催。11月17日には和歌山市で昼間はホールでコンサート兼カラオケ大会、夜はホテルでのディナーショー。全国を掛け巡ってキャッチフレーズの「歌も看護も心から」を実践している。

「大阪発流行歌ライブ」で歌う入山アキ子

 入山はデビュー以来ずっと疑問に思っていた事があった。「プロ歌手はなぜ毎年決まったように新曲を出すんだろう?」 理由は新曲CDを出さないと所属レコード会社が困るからだが、記念すべき今年のCD発売を前に入山はある決断をする。2008年「ザンザ岬」、14年「紀淡海峡」「秋芳洞愛歌」と過去に自身が出した楽曲をすべてニューバージョンで1枚に収めたのだ。すべて師匠の作曲家、鈴木淳(21年、87歳で死去)の作。紀淡海峡の和歌山市、秋芳洞の美祢市でのコンサートが今回のCDがきっかけになり決まった。

「大阪発流行歌ライブ」で客席を回りファンと握手する入山アキ子

 秋芳洞は国定公園内の特別天然記念物で通常イベントは困難。「そこで切手にも描かれている洞内黄金柱あたりが少し広くなっているので、そこでぶっつけ本番で歌わせて頂きます。美祢市ふるさと交流大使と山口県ふるさと大使をさせて頂いているご縁で、美祢市観光協会が全面協力して下さり実現しました」と背景を説明。

史上初の秋芳洞ライブのチラシ

 埼玉県在住で関東一円はマイカーのハンドルを自ら握りどこにでも向かう。残る「ザンザ岬」は北海道稚内市で対岸にサハリンを臨む野寒布(ノシャップ)岬のことで、同市ふるさと大使として再び現地を訪れる機会も増えた。和歌山市にも加太夕陽鯛使に加え、今年は同市観光発信人の肩書きが加わり、3曲とも地元と強いつながりが共通する。「時代の変遷と共にリズムをテンポアップし、聴く方が歌いたくなるよう工夫してみました」と話す。

入山アキ子が新たに出した「ザンザ岬」のCDジャケット

 都会に比べ地方はとかく「引っ込み思案で保守的な人が多い」と言われるが、彼女の生まれ育った長州・山口県は高杉晋作らを生んだ根っからの改革意識に富んだ土地柄。「私も〝やる〟と決めたら、手を替え品を替えやる。途中で迷ったら前へ出る」と積極的性格。

 「看護師時代は病院で体を、歌手になって舞台から歌で心を、それぞれ健康になって頂く。これはずっと変わらない。曲の合間には簡単にできる体操やストレッチをお客さまに紹介しています」と特技をフルに生かしている。

 大阪でのライブでは、客席を回るとご祝儀が次々手渡された。「コツコツと全国を回って応援して下さる方が少しずつ増えてきました。これが歌手にとって最もうれしいこと」と日々生きがいを感じている。

 (畑山博史)