道頓堀の名所「中座くいだおれビル」が来春再開 回遊したくなる新名所に

 大阪ミナミの観光スポット道頓堀のほぼ中央に位置し、入り口のくいだおれ太郎人形がフォトスポットになっていた「中座くいだおれビル」(地上6階、地下1階、延べ8280平方㍍)が、来春の大阪・関西万博開幕に間に合うようにリニューアルオープンする。ビルを所有する野村不動産グループが10月9日、発表した。

道頓堀に面して新設される身長6㍍相当の「くいだおれ太郎」看板のイメージ図

 同グループによると、テナント20社のうち15社を入れ替え。道頓堀に面した外壁には新たに音と光で演出する身長約6㍍の「くいだおれ太郎」の立体看板を設置。1階の入り口には以前と同様に、伝統の「くいだおれ太郎」人形が鎮座、2階には旧中座地下にひっそりとまつられていた芝右衛門狸を鳥居などと共に安置しパワースポットに。さらに3階には道頓堀五座の一つだった芝居小屋としての中座の雰囲気を再現した小路を新設。万博で内外の観光客が道頓堀を数多く訪れることを想定し、「観光客が回遊したくなる構造にする」と、新たな観光スポットとしての魅力発信をPRした。

リニューアル後に元の1階入り口付近のフォトスポットに戻される「くいだおれ太郎」のイメージ図

 同地にはかつて、初代渋谷天外や藤山寛美が座長として率いた松竹新喜劇が本拠とした中座があった。閉館後の2004年に現在の飲食やアミューズなどの観光ビルが新設。くいだおれ太郎人形は、同じ道頓堀に1950年開業した食堂ビル「大阪名物くいだおれ」の入り口看板として登場。長年マスコットとして親しまれてきたが、08年の閉店に伴い同ビルに移設され、09年にビルが今の名になった。

リニューアル計画を発表した野村不動産グループ関係者とくいだおれ太郎

 現在ビルは覆いが掛けられて「改装中」となっており、1階などの一部店舗のみが営業。太郎人形も〝バカンス旅行中〟という設定で撤去されている。内装と外装に約19億円をかけてリニューアルされ、外装に登場する「くいだおれ太郎」立体看板の周囲には、昔懐かしいネオン管を思わせる電飾を配置。さまざまな情報発信を行える大型LEDビジョンも備える。

アロハ姿でリニューアル完成までバカンス旅行中のくいだおれ太郎

 テナントは新たな飲食店やカラオケ店の顔ぶれが店名と共に公表されたが、地下1階のライブレストラン予定社と5、6階の大型テナントは来年まで内容は未発表の予定だ。

 野村不動産コマーズ社の宮本淳司常務は「道頓堀は昼間のにぎわいはあるが、夜の食事場所や食後にゆっくり遊べるナイトスポット性がまだ弱い。こうした部分の補完を意識し、観光客が新たなスポットとして訪れさまざまな楽しみ方を選択できる場所として機能させて行きたい」と力を込めた。

(畑山博史)