今までにない、新食感の味を追求 お菓子を通して子どもに〝新体験〟と幸せを届けたい

 「お菓子を味わうには、人間の五感全てを必要とすると言われています。目で見て、音を聞き、香りを芳(か)ぎ、口で味わい、食感を楽しむ。そんな五感全てを刺激するような本物のおいしさで、たくさんの人に幸せを届けたいー」。こう話すのは、テレビなどでも紹介され新たな大阪土産として注目を集める「チップスアンドチップス」シリーズなどを販売するシェルティ代表の山口幸平さん。
 会社を立ち上げたきっかけや、今後の展望を取材した。

〝日本一のお菓子〟を目指して

 子どもの頃あまり裕福ではなかったと話す山口さん。「5人兄弟の末っ子で、服はほとんど兄弟たちのお下がり。好きなものを自由に買うことはあまりできませんでした。そんな中唯一の楽しみが、ときどきお小遣いをもらって行く駄菓子屋。そんな経験から、お菓子には楽しさであるとか幸せというイメージが強くありました」

「お菓子を通して幸せを届けたい」と話すシェルティの山口社長

 18歳で関西に上京。長らく不動産会社に勤めたが、「自分の会社を作って成功し、社会に何か還元したい」という思いはずっと胸の内にあった。

 仲の良かったパティシエにその気持ちを打ち明けたところ、「やったらいい」というシンプルな答えが返ってきた。

 心強い仲間を得て、29歳で同社を立ち上げる。「日本一のお菓子を作る」という目標を掲げ、山口さんと仲間たちの挑戦が始まった。

 最初にメイン商品として販売したメイプルフィナンシェが大ヒット。比較的すぐに会社は軌道に乗った。ただしその後はヒット商品に恵まれず、そのままコロナ禍に突入し年商は9割減。不遇の時代もあった。

 そんな時、百貨店からコラボ商品の提案を受け、「チップスアンドチップス」を限定商品として販売。「これでダメなら会社を畳もうとも考えた。人生を賭けた」と山口さん。米粉を使った厚みのある堅焼き食感のポテトチップスは、アンチョビやベーコンなどの珍しい味が受けて大ヒット。続けて出した「ミルクラング」も同様、想像以上の売れ行きを得た。

子どもたちの幸せのため、できることを

 会社が再び軌道に乗ったところで、当初の目標だった社会貢献を考えるようになる。まずは今年の2月、出身地である五島列島に柔道家の野村忠宏さんを招いて、子どもの柔道教室を開催。「島の子どもたちは学びや体験の機会が少ない。オリンピックにも出場したプロの柔道が、子どもたちの刺激になればと考えた」

 また、今年5月にスタートした自身のラジオ番組「U.K.と山ちゃんのおかしな時間」(ラジオ大阪・水曜午後5時15分〜)内で「子どもハッピープロジェクト」も立ち上げる。ラジオを通して子どもを支援している人たちにスポットを当てて紹介し、さらに支援の輪を広げようという取り組みだ。出演者にお菓子もプレゼント。さまざまな境遇にいる子どもたちが、シェルティのお菓子を味わっている。

 「大切にしているのは、子どもにとっての〝体験〟。僕はお菓子屋さんだから、お菓子を通じた経験はいつでもすぐに子どもたちに与えることができる。新食感や今までにない味を追求している僕たちのお菓子が、さまざまな境遇の子どもたちの新体験の一つになれば嬉しい。シェルティに関わる子どもたちに、とにかく幸せになってほしいと本気で思っています」

■シェルティ/大阪市淀川区宮原1−1−1新大阪阪急ビル3F