来年4月13日開幕の大阪・関西万博を全4回にわたって特集するシリーズも今号で3回目だ。今回は海外や国内のパビリオンと両輪になって万博を盛り上げる会場イベントをクローズアップ。最新鋭の装置を使った体全体で楽しむイベントや、各国の文化体験など連日繰り広げられる多彩な催しを紹介したい。(佛崎一成)
「万博ではパビリオンとイベントは両輪。見たいイベントのある日を狙って会場に足を運ぶのも、万博を賢く楽しむ方法の一つ」。こう話すのは2025年日本国際博覧会協会の広報・プロモーション局長を務める小林浩史さんだ。
夢洲の会場にはイベントの舞台となる催事施設が大小合わせて11ある。大型ライブや映像上映など最大1万6千人規模を収容できるEXPOアリーナ「Matsuri」をはじめ、音楽や演劇、芸能などの劇場催事向けのEXPOホール「シャインハット」(約1900席)など多彩な会場が建設されている。
万博では、小橋賢児催事企画プロデューサーが中心となり、多様なイベントを計画。まずは会期中の日没後、毎日実施される主催者催事を2つ紹介したい。
会場全体で壮大なショー
一つは、会場全体の音響や映像装置、ドローン、みんなのスマホなどのデバイスが、まるで大きな生き物のように連動して光る「One World, One Planet.(仮称)」。会場のどこにいても光と音を共有しながら一体感を得られる時間が繰り広げられる。
もう一つは水と空気のスペクタクルショー「アオと夜の虹のパレード」だ。ショーの舞台は、会場をぐるりと取り囲む1周2㌔の大屋根リング内の南側。外海からリング内に海水を引き込んで作り出す水面「ウォータープラザ」内に、幅約200㍍、奥行き60㍍の巨大なショーエリアを作り、毎夜、水や空気、光、炎、映像、音楽が織りなす水上ショーが開かれる。
中心部には水をスクリーンにしてさまざまな映像を映し出す「ウォーターカスケード」の機能を持つ巨大なオブジェが設けられるほか、高密度に配置した約300基の噴水と照明やレーザーなどの演出が音楽と組み合わさり、一つの物語として体感できる水上スペクタクルショーが繰り広げられる。ショーは1日2回を想定しており、一度に数千人が見られる規模になるという。
世界の文化伝統が集結
各国の文化や歴史を体感できるナショナルデー、各種イベント。一部だが、すでに内容が公表されているものを見ていこう。
オーストリアからは500年以上前に神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世が宮廷礼拝堂少年聖歌隊として創設した「ウィーン少年合唱団」が来日する。「天使の歌声」と呼ばれ、世界中で愛される美しいボーイソプラノをリアルで体感できるチャンスだ。
ポーランドからは同国が誇る民族合唱舞踊団「シロンスク」が来日。4分の3拍子の緩やかなテンポ、威厳と優美さを備える曲に乗り、伝統舞踊「ポロネス」を日本の舞踊団も加わって披露する。
イエメンからはイエメンコーヒーが参加者全員に無料提供される。フルーツのような酸味、洋酒を思わせる熟成感など独特の味と香りを体験できる。
参加する国と国際機関の数を過去と比べると、1970年の大阪万博が91、2005年の愛・地球博で125だ。こう見ると、今万博の170がいかに圧倒的に多いかが分かる。会期が184日なので、単純に170の国と国際機関が1回ずつイベントを開催しても、会場では各国のイベントがほぼ連日繰り広げられる計算だ。
小林局長によると「現時点ですでに131の国と国際機関がナショナルデーへの参加を発表。過去の万博でのイベント参加状況を見るとドバイが90%、上海が80%だから、まだまだ参加は増える。9割超になるのではないか」と予想している。
〝並ばない万博〟に
各国が行うナショナルデー以外にも日本の自治体や企業などもこぞってイベントを開催。「コンサートもあれば祭りもあるし、中小企業の展示もある。歌舞伎や能などの伝統芸能も披露されるから、普段ふれたことのない人も『能とはこういうものか』と偶発性を楽しめると思う」(小林局長)
確かに、歌舞伎や能など本来は観覧するのに料金が必要になるものも多く、それが入場料ポッキリで楽しめるのはお得に感じる。
小林局長は「博覧会協会のウェブサイトではイベントカレンダーを随時更新している。申込者が多い場合は抽選になるが、見たいイベントがある日を狙って来場日を予約するのもいい」とアドバイス。さらに入場チケットについて「10月6日まで販売する超早割の1日券(6000円)は、10月7日以降は6700円になるので今購入する方がお得。パビリオン・イベントの抽選回数も1回分多くついてくる」とアピール。
加えて10月6日までの購入者は、「大人」は3万円分の電子マネー、「中人・小人」はミャクミャクのぬいぐるみやキーホルダーなど10点のレアグッズがもらえる『ミャクミャクぽん!』の抽選権も得られる。
今万博は「並ばない万博を目指す」と小林局長が話すように、全期間を通じてパビリオンやイベントへの参加は来場予約が必要となる。