こまつ座「母と暮せば」 連日満席の大阪公演が打ち上げ

 井上ひさし生誕90年こまつ座第150回公演「母と暮せば」の初演となる大阪公演が7月28日、大阪・西梅田のSkyシアターMBSで打ち上げた。

「母と暮せば」の初演となった大阪・西梅田のSkyシアターMBSでの大阪公演。(撮影・福岡諒祠)

 6年前に初演以来今回で3演目。母親役・富田靖子(55)と息子役・松下洸平(37)をはじめ、演出の栗山民也らスタッフが皆再結集しての上演で、4日間7公演はすべて満席の盛況だった。

 物語は、長崎の坂の上に住む助産婦の母親と一人息子の2人っきりの生活の上に原爆が落とされた、その3年後の話。生き残った母親の前に亡くなった息子が現れ、エピソードを繰り広げるファンタジー。終戦70年の2015年、吉永小百合と二宮和也が母子役を演じ映画化されている。

独り暮らしの母(㊧富田)をソッと見守る亡き息子(㊨松下) (撮影・福岡諒祠)

 公演は大阪の後、8月3、4日の沖縄(糸満市)をはじめ、舞台となった長崎を中心に佐賀を巡り、同月18~31日東京公演(紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA)で打ち上げる。

 松下は「新作の気持ちで稽古に挑みました。前回までやってきたことを大切にしながらも、新鮮な気持ちでセリフと向き合うことで今まで見えなかったものや、新しい発見がたくさんありました。 より母と息子の暮らしが見える、新しい『母と暮せば』になったと思います。あの日、長崎で何があったのか? そこにいた人々の声を、演劇を通して皆さまに感じて頂きたかった」と語った。

松下洸平

 富田も「台本に描かれている言葉によるたくさんの気付きを大切にし、まだ公演は続くのでこの夏を一生懸命に駆け抜けます!」と感慨深げ。

富田靖子

 演出の栗山は「毎朝テレビを付けると、地球上のがれきの街が繰り返し映し出される。その無残で絶望的な風景が、私たちの現在。歴史と今の傷あとをしっかりと見つめ続けることで、私たちの〝これから〟を願い続けたい」と話している。

(畑山博史)