ステンドグラスの彩りと共に、至福のコーヒーブレイク 金沢の老舗喫茶店を受け継ぐ

夏の新メニュー「コーヒーパルフェ」。氷はたてたアイスコーヒーから作っているので、いつまでも味が落ちないという

 大阪メトロ阿波座駅近く、9月9日に開店2周年を迎える「喫茶 水鯨(すいげい)」は、レンガとステンドグラスがハイカラな川口基督(キリスト)教会が目を引く川口居留地跡の一角にある純喫茶だ。ドアを開けると…、「あれれ?」まだ新店なのに、歴史を感じさせる重厚な店構え、情緒たっぷりな雰囲気の理由を聞いてみた。

 同店の山口オーナー夫妻は、金沢で約40年の老舗である喫茶店「禁煙室」(石川県金沢市尾張町)が閉店するという話を聞いた時に、地元大阪を離れてでも後を継ごうと思ったと振り返る。すると「禁煙室」のオーナーから「あなたたちの故郷の皆さんに、くつろげる場所を作ってあげて」と、逆に背中を押される形で、同店を開店することを決意した。長い歴史に幕を下ろした「禁煙室」の調度品を引き継ぎ、金沢から大阪の川口居留地跡に移築した。

 1970年代のバブル期に贅(ぜい)を尽くして作られたステンドグラスやソファ、カウンター、ガラス戸棚、調度品などをできるかぎり、在りし日の名店を再現するように配置にした。

 山口オーナーは「屋号の『水鯨』は、絶滅を危惧されつつも水の中で自由に泳ぐ鯨の姿と、喫茶店の未来を重ねて名付けました。これからは、閉店を余儀なくされる喫茶店と若い後継者もつないでいきたい」と語る。

 現在は、喫茶店を地元情報の発信地として、地元アーティストのピアノミニコンサートやウクレレライブなどのイベントを企画している。

金沢の名喫茶店「禁煙室」から移築したステンドグラスや調度品
「金沢の喫茶店を懐かしんで、大阪まで訪れてくれるお客さまがいる」と話す山口オーナー
オーナー家族

■喫茶水鯨/大阪市西区川口1―4―19/電話06(6556)6226
http://kissasuigei.com/