日本維新の会「野党第一党」宣言 勢力拡大にかじ 公明現職の全6選挙区に候補者擁立

2021年衆院選 大阪4区での公明候補の得票と維新の比例選での得票

 今年4月の統一地方選で、大阪府議会に加え、大阪市議会でも初めて過半数を獲得した大阪維新の会。6月25日に大阪市内で常任役員会を開き、地方選圧勝の勢いのまま次期衆院選でも公明党現職がいる大阪、兵庫の6小選挙区に候補者を擁立する方針を決めた。一方の公明党は、強固な組織力で〝常勝関西〟と呼ばれる地盤を維持するため全面対決の構えだ。

 維新は2012年の結党から過去4回の衆院選で、看板政策「大阪都構想」への協力の見返りに、公明候補のいる6小選挙区への擁立を見送ってきたが、統一地方選の圧勝で党内からは「もう公明党に配慮する必要はなくなった」との声が出ていた。

 6選挙区は大阪3、5、6、16区と兵庫2、8区で、公明は既に公認候補予定者を発表している。

 維新は前回21年衆院選の6選挙区で、5~9万票の比例票を獲得。いずれも公明候補が小選挙区で得た票が上回ったが、公明候補が当選した大阪3区では2786票差だった。

 維新内からは「候補者がいなくてもこれだけの票を取れれば勝てる」と強気の声が出ていた。維新は9月上旬までに候補者を決定する方針で「勝てる候補を開かれた形で選考していきたい」と表明している。

〝常勝関西〟の公明と全面対決へ

 維新の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は、公明現職がいる大阪、兵庫の6小選挙区に独自候補を立てる意義について、「日本には自公に対抗できるまともな野党が必要。そのために公明党とも正面からぶつかっていくことが重要だ」と次期衆院選での野党第1党の奪取を見据え、公明との協力関係から「決別」した形だ。

 実際に最近の各種世論調査でも、野党第1党の立憲民主党よりも支持率は高い。現在も維新は大阪の小選挙区では公明が持つ4選挙区を除く計15議席を独占している。

 公明にとって関西は党全体でも最重要地域だ。全国9人の衆院小選挙区選出の議員のうち、6人が大阪と兵庫からの選出。その組織力の強さから〝常勝関西〟と呼ばれてきた。

 次期衆院選での両党の戦いが注目される。