累計約6万人を動員した話題の「ホラーにふれる展」が関西初上陸。なんばスカイオ(大阪市中央区)で8月23日まで開催中だ。恐怖を生む映画美術の裏側に、記者3人が迫った。(竹居真樹)

映画美術の裏側にふれる 「ホラーにふれる展」に行ってきた ビビリな記者が行く! 体当たり取材
怖さの裏に職人技あり。「見て、撮って、さわって楽しめる」
「夏といえばホラー」でしょ。なんばスカイオ(大阪市中央区)で8月23日まで開かれている体験型展示会「ホラーにふれる展 -映画美術の世界-」へ、ホラー企画でおなじみのビビリな記者3人で行ってきた。同展は2024年に新潟でスタートし、3万2000人が来場。続く東京でも2万7000人を動員した。関西では初開催となる。

怖がらせるだけじゃない映画セットの裏側へ
会場に入ると、照明は薄暗く、入口付近には首のないお地蔵さま。かなり不気味な雰囲気が漂っている。鳥居や神社、墓場など、映画で使用する美術セットがいくつも設置され、来場者が自由にセットの中へ出入りできる作り。まるでホラー映画の世界に迷い込んだような感覚だ。
ところが、少し進むと、セットの裏側にあるベニヤ板が丸見えになっていた。
礒見「ギャッ!……って、え? 何これ、裏側が見えてる。もうビビって損した」
竹居「表から見ると本物の団地やコンクリートに見えるのに、裏に回ると全部ベニヤ板だよ」
西山「へえ。塗装の技術がすごいですね。本物の鉄板にしか見えません」
セットの裏側をあえて見せているのが同展の大きな特徴だ。
実物を見てまず驚くのはセットの緻密さ。設定は昭和50〜60年代。団地の美術セットでは、錆びついたドアや汚れた壁などがリアル。掲示板の貼り紙まで作り込まれている。歴史を感じる鳥居や、使い古された浴室など、ホラーにつきものな「古さ」「汚れ」を感じるが、いずれも同展のために2年前に制作したらしい。

なぜ裏側を見せる?
ホラー作品を含むさまざさまざな映画やお化け屋敷の制作に関わり、44年のキャリアを持つ美術監督。
「お化け屋敷は普通、暗闇の中を『キャー!』と逃げて終わるでしょう。でも、美術の人間からすると、『この塗装がすごい』『ベニヤ板なのにコンクリートに見える』という職人の技も見てもらいたい。だから、あえてセットの裏側まで見せることにしました」
美術監督がこだわるのは、職人の手で作るアナログの美術だ。「今は何でもCGやAIの時代でしょう。でも、僕はあえてアナログにこだわりたい。手で絵を描き、職人が現場でペンキを塗り、空間を作る。そこに実物があるからこそ、生み出せる恐怖やワクワク感がある」
最近は、20~30代の女性やホラーファンがコスプレをして写真を撮り、SNSで発信する姿も増えているという。
「『こんなの、もっと早く知りたかった』と言って拡散してくれる人もいる。裏側を見せれば怖がりな人も楽しめる。それがこの展示の良さだと思います」

大阪の「アホやな~」に期待
HEPファイブやひらかたパーク、ATCなどでも数々のお化け屋敷を手がけてきた美術監督。大阪開催には、特別な期待があるという。
「東京のお客さんは割と静かに感心してくれる。でも大阪の人は『アホやな~!』『くだらねえ!』などリアクションが激しいでしょう。僕はそれを狙っている。怖がらせるだけでなく、みんなで『よくできてるな』と笑ってワクワクしてほしい」


取材を終えて
極度の怖がりである礒見記者は、途中でキレそうになりながらも、最後にはセットを作る職人技に感心。平常心を崩さない西山記者は、冷静に塗装やセットの完成度を分析していた。
そして、ホラー好きの私は大興奮。怖さだけでなく、映画美術の作り方や、細部に込められた遊び心まで楽しめた。
「怖すぎるのは無理」という人でも、映画のセットに入り込んだような感覚で、見て、撮って、触りながら楽しめる。
次は〝ガチ〟のホラー体験に行きたくなった。礒見記者、西山記者、次回もよろしくね(笑)


