ヨーグルトなどの発酵食品を食事に取り入れたり、バランスの良い食生活や適度な運動をしたり、質の高い睡眠を取ったりすることで腸内環境を整える「腸活」が注目を集めている。健康に大きく関わる腸内フローラ(腸内細菌の集合体)に着目して「腸から人を健康にしたい」という思いで「bacterico(バクテリコ)」を起業した、腸内環境のスペシャリスト菅沼名津季さんに「腸活」に関する話を伺った。
芸能人も実践
菅沼さんは「コロナ禍をキッカケに免疫力を高めたいというニーズが増えました。また、自宅で過ごす時間が増えたことで日々の生活習慣を見直し健康意識も高まった。そうした中で、腸活を実践することで体調が改善した、以前よりも痩せた、体臭が気にならなくなった」という話を以前より多く聞くようになったと話す。続けて「先日、俳優の斎藤工さんとトークセッションをさせていただく機会があり、腸活の話題になりました。そこで、善玉菌の一種である、ビフィズス菌が多い赤ちゃんのうんちは臭くないという話をすると、斎藤さんは『私も健康のために腸活を実践していて、しばらく続けたら体臭が赤ちゃんのような臭いになった』という実体験を話してくれました。このように腸活を行うことで、自身の健康や体の変化を実感する人が多くなりました」と話している。
腸と脳の関係
実際に多くの研究報告から、腸内フローラは、インフルエンザなどのウィルスに対する免疫力や、生まれてくる子どもがアレルギーを発症する確率などにも密接に関係していることが明らかになっている。さらに、脳腸相関と言って、脳と腸が相互依存関係にあることを示す研究結果もある。例えば、「緊張しすぎて、おなかが痛くなる」「便秘が続くと気分が晴れない」といったことだ。多くの人が経験したことがあるのではないだろうか。つまり、腸内フローラは私たちの健康にとって、切っても切り離せない関係なのだ。
赤ちゃんの腸内フローラは母親次第?
この腸内フローラは人それぞれで大きく異なっていて、非常に多種多様だ。しかも、毎日の食事や睡眠などの生活習慣で腸内細菌の種類や数は大きく変化し、腸内環境が良くも悪くもなってしまう。人の体内には1000種以上、約40兆個以上の腸内細菌が棲(す)んでいるといわれているが、生まれる直前の赤ちゃんには腸内細菌がいない。赤ちゃんは生まれてくる時に、母親の腸内細菌の一部を受け継ぐのだ。つまり、母親の腸内フローラの善玉菌が優勢であれば、生まれてきた赤ちゃんの腸内腸内フローラも善玉菌が優勢になる可能性が高くなるという。
菅沼さんは「妊活中や妊娠中の女性には、生まれてくる赤ちゃんのためにも腸内フローラを良くするための生活習慣を送ってほしい。日本は醤油や味噌、納豆など、さまざまな発酵食品が発達した食文化です。日本人の体質に合った発酵食品や食物繊維が豊富に含まれた野菜などをバランスよく摂ってもらうことはもちろんのこと、人ぞれぞれの腸内細菌に合わせた食材を摂ってほしい」とアドバイスしている。
コンビニでできる腸活
さらに、「腸活は決して難しいことではなく、誰にでも手軽にできます。例えば、コンビニでご飯を買う際に、おにぎりやカップ麺だけでなく、食物繊維を摂るために野菜や海藻、大豆などが入ったお惣菜を追加する、デザートにヨーグルトを追加するということも腸活ですよ」と話す。
昔のお殿さまは「便」で健康チェックしていたという話もある。現代は科学の発展に伴って、便から腸内フローラを簡単かつ短時間で詳細に調べることができるようになった。この機会に自分自身の腸内フローラを知って、自分に合った生活習慣を見つけてみては。
<取材協力>株式会社bacterico 大阪市北区堂山町1-5 三共梅田ビル7階
サービスHP https://mama-flora.com/
サービスInstagram https://www.instagram.com/mama_flora2022/