【脱構築】ものづくりと並走しながらそれぞれの思いも交わるカフェ

グリーンの多いオシャレな店内。内観や料理へのこだわりを 説明する脇田寛之さん

 6月30日、記者の地元の大阪・八尾に、外観や内装からスタッフに至るまで、目につくものすべて「素敵すぎる」カフェがオープンした。その名はCO−BA。1948年創業の友安製作所本社ビルに併設されたファクトリーカフェで、「コーバ」と読む。ものづくりの現場である「工場」にちなんだネーミングだが、ひそかに「地域の人や生産者と交わり、活気を生み出す〝交場〟でありたい」という願いも込められている。
 カフェ事業責任者の脇田寛之氏によると、同社にとってCO−BAは4店舗目のカフェ運営。支社や支店がある東京・浅草橋、大阪・阿倍野、福岡・博多エリアでの出店を経て、満を持して大阪・八尾(本社敷地内)での開店となった。個性を大事にする同社らしく各店ごとに特色がある。CO−BAは一般客だけでなく社員食堂としての機能も視野に、健康に良いと注目される「発酵」「オーガニック」にこだわっている。
 「地元でできるだけ農薬を使わずに野菜や果物を育てる生産者に出会うこと、無添加の調味料やドリンクを探すことが大変でした。オーガニックにこだわるとどうしても原価が上がってしまうので価格設定にも苦心しました」と脇田さん。
 開店直後の今、料理の品数は多くないが、食べる人の健康を気遣う気持ちや、生産者へのリスペクトが一品一品に込められている。看板メニュー「カラーズ・サラダプレート」に合わせるドレッシングの一つは、地元のごま専門メーカー・和田萬に発注した有機ごまドレッシングを採用。サイドメニューのカルパッチョは朝獲れの鮮魚を、ローストビーフの肉もA5ランク和牛しか取り扱わない地元卸業者から仕入れる。シンプルなメニューだからこそ食材の質が際立つ。
 「おかげさまで、これまでの八尾にはない料理やドリンクを楽しんでいただけるラインナップが完成した。店をきっかけに地元のおいしい食材やがんばる生産者を知ってもらえたらうれしい」。
 子育てでは「手がかかる子ほど可愛い」と言われるが、事業にも当てはまるのではないか。苦労した分だけ思いは募るし、担当者の思い入れの強い商品やサービスの魅力は消費者にも共感されやすい。それらが愛着ある地元での展開ならばなおさら。CO−BAの今後に期待を寄せてしまうのは同郷の絆のせいばかりではなさそうだ。
(西村由起子)

看板メニューのカラーズ•サラダプレート