食関係のイベントをよく開催するオーストラリアパビリオンで、今度は同国で最も人口の多い州であり、プレミアムな農産物・食品の主要輸出地のニューサウスウェールズ州(NSW)が主催する同州産のビーフやラム、シーフード、ワイン、ハチミツ、ハーブなどの試食会「NSWフード&ビバレッジ・ショーケース」が開催されたので、参加してきた。
ニューサウスウェールズ州政府 貿易・投資局の日本担当コミッショナーであるデイビッド・ローソン氏の挨拶で始まり、各社の代表が取り扱う商品を紹介。最後は同館のマスコットの挨拶で締め括られた。
馴染みのあるもの、ないもの、色々あった中から幾つか紹介しよう。
▼オーストラリア産マヌカハニー
マヌカハニーというとニュージランド産をイメージしがちだが、オーストラリアでもマヌカの花から採取したハチミツで作られるマヌカハニーがある。
広大な自然環境の中、農薬や化学肥料の影響を受けない場所に生息するマヌカの花からミツバチたちが収集してきた蜜を使ってマヌカハニーを作っているのだ。マヌカという名前をつけられるのは、収穫されるハチミツの40%以上がマヌカの花からのものであることが条件になっている。
ハチミツを食べ比べると、どの花から蜜を収集したかによって味も見た目もハチミツの状態も違うことがわかるが、マヌカハニーは、それに加えて抗酸化作用が高いことで有名。1日に4グラム摂取すると健康に良いといわれ、ピロリ菌を退治して、胃腸の調子を整えてくれたり、胃癌などの予防にもなるという優れものなのだ。
オーストラリアマヌカ+30、+50、そして+550と3種類揃えられていたマヌカハニーを試食したが、+30でも相当濃厚で上品な甘さだった。最高級のマヌカハニーはトロトロでねっとり甘く贅沢感が口からこぼれ落ちそうなほど。こんなもものを普段から食べていたら、普通のハチミツは食べられなくなりそうだ。
▼レモンマートル
レモンマートルは、NSW州北東部原産のハーブで、飲料はもとより、精油や食品をはじめ万能なシーズニングとして注目されている。
今回も、レモンマートルを利用した、お茶や化粧品、石鹸など複数の商品が並んでいた。
レモンマートルの葉にはシトラールが豊富に含まれていて、強いレモンの香りがする。ただ味に関してはほとんど無味に近い。ほかにもポリフェノールやフラボノイドなど体に良い成分が多く含まれているのが特徴。
レモンマートルを混ぜたマヨネーズで和えたクロコダイルの肉が試食に提供されていたが、これは先日試食した同館の「CAFE KOKO」のクロコダイルフィレロールの具と同じものだった。改めてレモンマートルが入っていると言われると、レモン風味を感じるから不思議だ。
抗菌作用があるので、化粧品や食品に混ぜて使うにはちょうどよく、精油もレモンの爽やかな香りだけでなく虫除けにもなり、使い勝手は良い。
▼ジャックス・クリーク
ジャックス・クリークは、豪州産Wagyuを中心にアンガス牛や、その両方の交配牛などを飼育しているビーフ生産者。
「ワールド・ステーキ・チャレンジ」で世界最高のステーキに選ばれた牛肉を扱っていて、その品質はお墨付き。飼育の際に、放牧による牧草だけを飼料とするのではなく、穀物で育てる時期を設けて、肉に霜降りが入るように工夫している。
複数のWagyuミートとアンガス牛、そしてラム肉などが試食として提供されていた。
ラム肉は、フレッチャーラムが提供していて、同社は世界90カ国以上に高品質のハラール認証ラムとマトンを輸出している同国を代表する企業。今回もラム肉とはいえ、クセもなく匂いも特に気になるようなものはなく、おいしく食した。
▼ノンアルコールビール
ヒープスノーマルはシドニーにあるノンアルコールのクラフトビールに特化した醸造所。クラフトビール世代を主なターゲットと捉えているという。アルコール含有量は0.5%以下。
アルコール摂取量を減らしたいという人に、本物のビールの味を味わってもらいつつ、アルコール摂取量が減らせるという選択肢を提供したかったという。また普段飲みだけでなく、飲みたいのに飲めない状況(例えば仕事中の暑い午後)などに楽しんでもらえたらと考えているとのこと。
試飲用には3種類あり、爽やかで旨み十分な味わいでトロピカルで柑橘系の香りが特徴のクワイエットXPA、希少ホップ、リワカとトロピカルな風味のエラを使用したアナザーラガー、ドライホッピングによるホップの豊かな香りと華やかでジューシーなフレーバーのハーフ・ディ・ヘイジーが用意されていた。
実際に試飲させてもらったが、ハーフ・ディ・ヘイジーは軽くの飲みやすい口当たりで、クワイエットXPAは、まさにビールと行った感じで、よくできていた。
輸入元が名古屋の会社なので、地元から普及させて関西にも進出してきたいと思い語ってくれた。ちなみにオーストラリアでは人気の商品で、普通に飲まれているものだそう。
▼マレーコッド
マレーコッドはオーストラリア固有の淡水魚で、NSW州に生息するスズキに近い魚。現地のAqunaという企業が持続可能な方法で養殖しており、サステナブル・ラグジュアリー・シーフードという新しい定義を打ち出している。
天然マレーコッドの漁業は行われていないため、市場に出回るのは同社が養殖したものだけ。そのためマレーコッドは希少価値の高い高級食材になっている。
肉厚で脂肪分を比較的多く含む白身は引き締まってほぐれやすいので様々な料理に向いている。試食では生の刺身とフライパンでグリルした2種類が用意されていたが、刺身はスズキの刺身と殆ど違わない味と食感だった。
グリルした肉厚の白身は食べ応えがあり、あっさりして淡水魚にありがちな臭みもなく、確かにどんな料理にも合いそう。
現在はまだ、日本に商業ベースで輸入されておらず、今後は高級食材なので、どこででも食べられるというわけではなく、限られたレストランや高級スーパーなどで取り扱ってもらうことになるという話だった。
▼ワイン
数的にもスペース的にも最も多かったのはワイン。同国の中でもNSW州はワイン生産のメッカで多数のワイナリーが存在する。オージーワインは比較的お手頃な値段のものでもおいしいワインが多いためか、今回用意されていたものも1000円台から数千円台のものが多かったように感じた。
同国は食料自給率が高く、日本はたくさんの食料を輸入している。安心して食べられる食料の供給源であり、どれもおいしいものばかり。今後もオーストラリアパビリオンでの食関連イベントは追いかけて、最新の情報を届けていく。