
5度目の万博出展 世界に「酢の文化」発信
豊臣時代(1590年頃)にルーツを持つ老舗醸造酢メーカー・タマノイ酢は、酢の魅力と可能性を多角的に発信するため、大阪・関西万博「ORA外食パビリオン『宴~UTAGE~』」に4月13日~5月12日の期間限定で出展した。
同社の万博参加は132年前、1893年のシカゴ万博を皮切りに、今回で5度目。日本からの出展が少なかった時代に、米と麹を使った天然発酵による醸造酢の品質と技術が高く評価され名誉金牌賞を受賞、世界に向けてその存在を示した。その後も、1958年のベルギーブリュッセル万博のほか、大阪万博(1970年)、沖縄国際海洋博覧会(1975年)と、時代を象徴する万博に参加し続けてきた。同社は世界に「酢の文化」を発信し続けている。

今回の万博は、同社の代表商品「すしのこ」を使った「寿司握り体験イベント」を実施。火も水も使わずすし飯が作れるという手軽さに、海外観光客から好評だった。特に5月11日の「母の日」に行われた「母の日特別寿司握り体験」は、子どもたちが母親に向けて寿司を握る姿が見られ、会場には親子の笑顔が広がった。単なる調味料としてではなく、家族の絆や文化的体験を生む「きっかけ」としての酢の可能性を引き出した。

最近では、伝統を守るだけにとどまらず、忙しい現代人や海外のライフスタイルにも対応した新たな酢の使い方を提案。例えば、疲労回復やダイエットサポートを目的とした〝飲むお酢〟など、美容や健康など様々な角度からアプローチした多彩な商品開発を進めている。同社の強みは、こうした企画力と実行力で、社会の変化やニーズを敏感に捉え、それに応じた形で酢を〝暮らしに寄り添う存在〟として再定義し続けているという。
伝統に安住せず、常に一歩先を見据えるその姿勢が、今回の万博出展でも際立っていた。酢が持つ可能性は、今後ますます広がりを見せそうだ。
