〝撮り鉄〟梅団治が半年連続独演会を大阪・心斎橋角座で開催

三代目桂春団治(2016年、85歳で死去)一門の上方落語家、桂梅団治(67)が、芸歴45周年を記念したDVD作成のため3月から半年間毎月1回の6カ月連続独演会を本拠地の大阪・心斎橋角座で開催することになり抱負を語った。

45周年で6カ月連続独演会を行う桂梅団治

福岡大落研出身で1980年プロ入門。イベント司会などで食いつなぎながら次第に頭角を現した。一門が集まった席で師匠から「何か継ぎたい名跡はないか?」と問われた時、とっさに「梅団治はどないですか?」と知っていた名跡を偶然挙げたところスンナリとOKが出て97年に4代目を襲名。以来、三代目が得意とした「鋳掛け屋」や「代書屋」などの古典や自身が〝撮り鉄〟である事を生かした新作「鉄道親子」「憧れの蒸気機関車」などを演じる明るくほのぼのとした芸風で活動してきた。

「噺家が一番オモロいのは60代やと思いまんねん。(桂)雀々兄さんは年下(64歳で死去)でっけど3年先輩やった。昨秋に急に亡くなりはってドえらいショック。僕も元気な内に〝何ぞ形になるモンをちゃんと残さなアカン〟と思いましてん」と動機を説明。

「若い頃はバブル期で司会の仕事ばかり」と梅団治

独演会は毎月日曜の昼下がりに開催。開口一番で若手登場後、梅団治が毎回古典ネタを3席ずつ計18席演じる。噺家以外のゲストが毎回登場し梅団治とトーク展開するコーナーも。「前売り2500円、当日3千円と安いでっしゃろ。お客さんも笑い声でDVD収録に参加して頂くのでその分安ぅさせてもらいました」と話し、6回全部の前売り券(計1万5千円)を一括購入したファンには梅団治特製大入り袋に500円硬貨を入れプレゼント=窓口06(6258)8025松竹芸能=する。

「古典も自分なりにチョコっと変えたりして」と話す梅団治

DVDには高座の口演がそのまま収録されるとあって、ネタが飛んだり、かんだりは御法度。その分、緊張感も増すが「まぁ飛んでもごまかせるから。〝新しい演出や〟言うてね。絶句したらそこはカット。何とかなりまっしゃろ」とひょうひょう。自身のアマチュア時代はひたすらカセットテープを聴いて稽古を重ねたそうで「今はDVDとかユーチューブ見て稽古するらしいね。自分の経験で言うと絶対目の前で師匠や兄さん方に稽古を付けて頂くのがいい。同じネタでも各一門でやり方教え方が違う。これが凄く勉強になる」と研究熱心な一面がチラリ。

ポスターを前に抱負を語る桂梅団治

山あいを行く列車を撮るのが趣味。「山道を黙々と歩いている時は、ブツブツとネタくりまんねん。余りシンドいとネタ忘れてまう。ウチの師匠はホンマに細かい所まで教えてくれはったから、今となったらありがたいね。僕がおらんようになってから、誰かがこのDVD見て〝このネタ、こんな風にやってる〟言うてくれたらうれしい」と静かな闘志を燃やした。

(畑山 博史)