大阪府の基準地価(7月1日時点)が9月17日に発表され、商業地は前年比7・3%増、住宅地も同2・0%増とそれぞれ3年連続して上昇。インバウンド需要の回復で、観光地を含む飲食店などが集積する大阪市中心部などで上昇幅が拡大。特に今月初旬に一部が開業したうめきた2期「グラングリーン大阪」周辺の地価が大きく上昇した。
上昇する府内の商業地の中でも特に大阪市内は前年比10・6%増と大きな伸び。前年の5・5%からさらに上昇幅が拡大した。商業地の最高価格は5年連続で大阪市北区大深町のグランフロント大阪南館。1平方㍍あたり2390万円で昨年よりも3・9%上昇した。次いで中央区宗右衛門町の〝グリコ看板〟近くにあるデカ戎橋ビルが同2240万円で同14・9%上昇。3位は大阪第一生命ビル(同1870万円、同8・7%増)となった。
ちなみに過去の最高価格地点のピークは、バブル景気のまっただ中だった1990、91(平成2、3)年で、ナビオ阪急(北区角田町)の同3600万円となる。
商業地の上昇率1位は「福島区福島6─20─2」で、1平方㍍あたり141万円と前年(116万円)に比べ21・6%上昇。すぐ東側に、今月初旬に一部が開業したうめきた2期「グラングリーン大阪」があることから、周辺の地価が大幅に上昇。特にうめきたに完成するタワーマンションの平均坪単価が約950万円だったことから、周辺のタワマン相場も急上昇。この辺りの話は次回の10月12日号が届く一部の読者だけになるが、くわしく特集する。
話を戻そう。商業地の上昇率トップ10の顔ぶれを見ると、7つを大阪市西区が占めている。市区町村別でも西区は18・3%増でトップだ。背景には2031年に開業を控える「なにわ筋線」の存在がある。同区内にはなにわ筋線の「西本町駅」が設置され、新大阪や関西空港へのアクセス向上が見込まれる。加えてマンション需要も高く、「現在の地価は割安」という不動産関係者の見方もある。西区に続く上昇率上位は福島区の15%、浪速区の14・1%だった。
一方、住宅地のトップは25年連続して「天王寺区真法院町117─3」で1平方㍍あたり72・5万円。上昇率1位は「福島区鷺洲5─6─41」で前年比8・1%増の同50・8万円。市区町村別の上昇率1位も福島区でプラス7・6%。次いで中央区の7・4%、天王寺区と城東区の6・7%と続いた。