吉本新喜劇座員で一般映画や演劇舞台でも活躍する異色の存在、佐藤太一郎(46)が、ユニット「人間ごっこ」を組んでいる後輩座員、小西武蔵(43)と共に吉本新喜劇次世代公演「佐藤太一郎×小西武蔵『温故知新喜劇』」を8月23日夜になんばグランド花月(NGK)で上演する。
新喜劇は今年創立65周年を迎え、間寛平GM(75)は全座員109人を対象に自主公演に送り出し独り歩きを促す組織活性化を実施。中でも、佐藤と小西の「人間ごっこ」は毎月のネタバトルでぐんぐん頭角を現し、セカンドシアター独自公演は常に満員、1年前のNGK座長公演も満員。そのご褒美として念願だった京都・よしもと祇園花月での1週間通しの座長公演も成功させた。これらの実績を引っ提げて今回のがい旋公演が実現した。
佐藤は6月に祇園花月で約1年ぶりの座長公演「YOU DON’T GIVE UP」で、新たなキャラクターであるドラァグクイーン「レディー・シュガー・佐藤」として登場。経営コンサルタントとしてうどん店のピンチを救う役柄を演じた。「『人間ごっこ』コンビで座長を目指す中で、『新たなキャラを作ったらどうか?』とのアドバイスを受け、京都でサポートして頂いたアキ座長に相談。『オネエ・キャラが今まで一番よかったよ』と言ってもらったので…」と誕生の経緯を説明。そのいでたちは佐藤が好きなブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」のローラをイメージして、衣装も新たに発注。佐藤はドラァグクイーンのいる店にも足を運び歩き方など立ち振る舞いを学び、アイラインやリップの描き方などメーク法も直接教わった。
新喜劇では座長の大きな役割として演出を担当するが、佐藤は台本まで執筆。まだ物語自体は固まっていないが「豪邸に住む子供たちの元に、伝説の家庭教師と言われたドラァグクイーンのレディー・シュガー・佐藤がやってくる。新米執事の小西をはじめ、クセの強い登場人物が繰り広げる新喜劇らしいドタバタの展開。そんな中、シュガーの秘密が次第に明らかになって…」という内容を予定。
小西は「いつもは太一郎さんが派手に芝居をし、隣で僕がボケるんですけど、今回は祇園の時と同じように2人がかりで笑わします」と新たなキャラを引き立てる構え。
新喜劇ではすっちー座長のすちこ、アキ座長のアキコと女装した男優が演じる女主人公に根強い人気がある。しかし、ドラァグクイーンが主人公の試みはNGK初。佐藤は「新喜劇の伝統を引き継ぎながら、新しい次世代の新喜劇を創りたい。アキ座長が音楽とダンスを取り込んだファッショナブルな新喜劇を試みられたように、僕も常識にとらわれず、自分らしく生きるドラァグクイーンを演じて、他劇団出身者初の新喜劇座長の座を目指したい。皆さんもぜひシュガーちゃんに魅了されて下さい!」と意気込んでいる。
(畑山博史)