学力不足を見事跳ね返して志望校合格 「探究学習で人間的に大きく成長できました」

「ここは生徒の皆が優しいのが校風だと思う。何か新しく始めるときは皆が協力的で、たくさん助けてもらいました」と話す上野真歩さん

「どんな3年間だった?」 四條畷学園中の「発展探究」「発展文理」クラスの卒業生(一期生)にインタビュー

 私立の中学校といえば、中高6年一貫校による大学進学率をアピールする学校がほとんどだ。そんな中、私学では珍しく四條畷学園では中学3年間のみの2コース「発展探究クラス」「発展文理クラス」を3年前に設置し、今年度1期生を送り出した。

 やはり気になるのが進学先だが、卒業生たちは府立トップ校の文理学科や有名私立進学校など多彩な実績を証明した。
 この背景には同校の特色である生徒の個性を生かし、生徒に寄り添った3年間の教育実践が大きい。それに加え、10年以上続けてきたネーティブ教員と日本人教員によるチームティーチング「グローバル教育」や、教科や科目の枠を超えた課題に取り組む「探究」学習などの蓄積が、同校オリジナルメソッドとして「3年コース」の成果に繋がっている。

 今年同校を卒業し、府立寝屋川高校に進学した上野真歩さんは、「当初は学力的に合格は厳しかったです。先生方の寄り添う教えとアドバイスで自分の苦手をつぶし、得意を伸ばすことで、志望校に入学することができました」と、満面の笑みを浮かべ話していた。私学である同校は公立と比べて通塾率が低く、全生徒に配布しているタブレットなど、ICT教育にも柔軟に対応している。

 企画部長の中司延亮先生は「上野さんは1年のときから先生の指導と自分を信じてコツコツ努力していた。諦めずにずっと努力した結果。今後の長い人生に大切です」と生徒の成長に目を細める。

 真歩さんの中学生活3年間は発展探究クラスでの学び、異学年交流を深めた生徒会活動、部活(卓球)と充実した学園生活を送った。 自分で答えを引き出す探究学習では「自分の好きを探す探究」のために花火師をインタビューしてまとめ学習を行った。「問題探究型」の探究学習では商業施設の建て替えのために、地元の人たちの〝心の拠り所〟として親しまれていたクスノキの大木が伐採されることになり、伐採された木をどう生かすか、という課題に仲間とともに取り組んだ。

 真歩さんらメンバー4人は地域の人たち12人から丁寧に意見を聞き取り、その結果、導き出されたのが「伐採されたクスノキの木で思い出が残るキーホルダーを制作して、ワークショップを開催して購入してもらい有効活用する」ことだった。実際、『興味』があることを『探究』し、『地域の課題』解決につながった探究学習は真歩さんらメンバーを大きく成長させてくれた。

 すでに将来の夢を「患者に寄り添った看護師になりたい」という真歩さん。「何のために勉強するのか?」。受験生がよく直面する悩みだが、3年間の探究学習は真歩さんに「なりたい自分」「描いた将来の夢」を実現するために必要なのは何なのか、そういった目標の見つけ方もコーチングしてくれた学園生活だった。

▼生徒自ら学校をPRした動画
3年間での成長=上野真歩さんも出演中
実践躬行(じっせんきゅうこう)=実践から学ぶ生徒たちを紹介

ICT授業の様子

【取材協力】四條畷学園中学校/大東市学園町6-45/電話072(876)2120
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