出産後、慣れない育児に疲れてしまいがちな母親の心身両面をサポートする「産後ケア」。しかし「生んだばかりの赤ちゃんを預けることに抵抗がある」と考える人は多いのではないだろうか。海外では「産後ケア施設」の利用が〝当たり前〟だが、日本ではまだ広く知られておらず、専用の施設も少ない。こうした中、産前産後ケアホテル「ぶどうの木 都シティ 大阪本町」(大阪市中央区)が7月で開業1年を迎える。
「産後はお母さんが頑張るのが当たり前」。日本ではそのような風潮が残るのは否めない。だが、出産直後は「夜泣きで眠れない」「授乳がうまくできない」「24時間赤ちゃんをケアすることへの負担」など育児の悩みは尽きない。特に出産後の母親は体力を大幅に消耗。まとまった睡眠を取りづらく、体を休められない。そうした心身のケアをサポートしてくれるのが「産後ケア」だ。
同ホテルでは24時間体制で赤ちゃんのケアを行うのはもちろん、母子のケアのスペシャリストである助産師や子育て経験のあるスタッフが昼夜を問わず常駐。産前産後の女性の体の不安や心の悩みも一緒に考えてくれる。
スタッフとの連絡はLINEのやり取りで気軽に相談できるのもポイント。オプションでアロマオイルトリートメント、骨盤ケアなどもあり出産で疲れている体を癒やすことも。
「産後ケアルーム」は8部屋。家族で一緒に宿泊することもでき、産後すぐに赤ちゃんを預けて家族で出かけることもできる。2階ロビーでは友人を招いてゆっくり話をしたり、朝食はビュッフェを味わえたりとホテルならではの過ごし方が可能だ。
「独りで育児を頑張らないでほしい。〝旅行〟感覚で利用してもらい、大らかに育児をしてもらいたい」と広報の植田美紀さん。
最近では政府のこども家庭庁も「産後ケア」事業の拡充に乗り出しており、日本でも「産前産後ケア」という施設の広がりが望まれる。出産後の辛い時期を楽しく乗り切る一つの解決策になるかもしれない。
場所は大阪市中央区北久宝寺町1─8─7、電話050(3706)3435。