学童と魚屋のコラボ 児童らがイワシの手開きを体験

 南森町駅徒歩すぐにある「学童保育ほなな」(北区天神橋2)は、〝毎日がんばっている親子を応援したい〟という思いから、少人数制の学童保育を開校し1年を迎える。都会にありながら、木の質感を取り入れた開放的な室内には、下校後の児童の笑い声であふれている。〝料理ができる〟のが魅力でもある同所は毎月開催する「ほななイベント」で、外部から様々な料理の専門職をゲストに招き、〝コト〟の提案&体験を実施している。

 この背景には、「子どもたちに、〝ホンモノ〟に触れてたくさんの経験をしてほしい」という岩浅室長の強い思いがある。北区池田町の商業施設「ぷららてんま」地下1階に店を構える「お魚屋さん かぎや」の鍵谷社長はそんな思いに賛同した一人だ。「以前から、小学生に向けて魚の捌(さば)き方教室をやってみたかったが、場所や生モノの取り扱いなどの問題もあり、良い方法はないかと模索していたところ、たまたま縁があり今回のコラボが叶った」と話す。

 子どもたちから「魚を捌(さば)いてみたい!」という声が多く寄せられていたのもあり、「お魚屋さん かぎや」全面協力のもと、今回は初級編として「親子で学ぶイワシの手開き」を開催した。

 イベント当日は、鮮度抜群のイワシを用意。魚に直接触れる機会が少ない子どもたちは、目の前のイワシに興味津々。まずはイワシの名前の由来や生態、おいしいイワシの選び方など、大人もためになる魚屋だからこそのうんちくを交えたクイズを出題。さらに、イワシを使った料理メニューなどを説明した後、実践へと移った。

 「怖い!」という声が上がったのは最初だけ。子どもたちは恐る恐る、包丁を使って頭、腹を落としていく。イワシは群れで泳いでいる時に魚に襲われそうになると、自らのウロコをはいで目くらましに使うため、水揚げされた時には、ウロコがついているイワシは少ない。そのため、ほかの魚に比べるとウロコを取る手間が省けるので、自宅でも調理しやすいという。今回は〝初級編〟ということで、包丁を使う作業はここまで。ここからは、手を使いイワシの腹を開いていく。漢字で「鰯(イワシ)」と書くように「弱」という字が入るだけあって傷みやすいので、ササッと水洗いしすぐに水分を拭き取る。普段から、夕食の手伝いをしている子どもたちは手際が良く、あっという間に手開きされたイワシが並んだ。

 今回は、フライヤーとオーブンを使ったマヨ焼きの2種。調理は、火の取り扱いに注意しながら全ての工程を子どもたちで行い、きつね色にカラッと揚がったイワシフライができ上がった。完成の瞬間、周りから〝ぐぅ~〟とお腹の鳴る音が聞こえてきた(笑)。

 調理が全て終わると、「ほなな」が用意した副菜と共に、みんなで「いただきます!」。「おいしい~!」「イワシの味が濃い!」「おかわり~!」と、代わる代わる声が挙がっていた。

 子どもたちに感想を聞くと「魚の話が聞けてうれしかった」「次はタイを捌きたい!」など、食べるだけでは感じることができない感想を話していた。保護者からは「家庭科の授業以来、久しぶりに魚を捌いた」や「これからは、自信をもってイワシを購入できそう」など、大人にとっても貴重な体験となったという。

 今回の第一弾が好評だったこともあり、参加者からは、早くも第二弾を要望する声が出ている。詳しい内容や、その他イベントについては、同所へ。

【取材協力】
◾️学童ほなな/大阪市北区天神橋2丁目3−2 栗山ビル 2階/06(6357)5001
◾️天満市場 お魚屋さんかぎや/大阪市北区池田町3−1ぷららてんまB1 階 /06(6353)0031