〝元祖お昭和〟な喫茶店（中崎町）　グラフィックデザイナーから飲食業界へ転身

　1982年から北区中崎町に店を構える「中崎昭和喫茶ニューMASA」は、昭和レトロな内装で、雰囲気は当時から何も変わっていない。これぞ〝元祖お昭和〟な喫茶店として常連客に親しまれ、モーニング(土、日限定)、カレー、珈琲、クリームソーダなどと、懐かしいメニューを取り揃える。

　オーナーの片牧尚之さんは元々、同店の常連客だった。ある時、先代から「もう高齢だし、このお店を継いでくれないか？」と突然言われ、自身も含め常連客の行き場がなくなるのは困ると思い、2011年に引き継いだ。

　当時、フリーのグラフィックデザイナーだった片牧さんは飲食業の経験はなし。〝0地点〟からのスタートだ。3年間ダブルワークを続けていたが、本業との両立が難しく、店を閉めることも多かった。しかし、常連客から「もっと店を開けて欲しい」という要望があり、本業であるグラフィックデザイナーを辞めて喫茶店経営に本腰を入れることになった。

　おすすめメニューはカレーだ。スパイスカレーや欧風カレーではなく、いたってシンプルな「毎日食べたくなるカレー」を提供している。「特別なものにしたくない、だけど家では食べられないような味に仕上げています。忙しいサラリーマンがサッと食べれるようなカレーを目指しています」と片牧さん。

　今では常連客も増え、子どもから年配まで幅広い年齢層に愛されている。休日には昭和レトロを求めて若い女性がSNSを見て来店することも。「1982年から守り続けている空間を楽しんでもらえたら」と片牧さんは話していた。